KDDIを始めとするインターネット事業者12社は10月16日、すべてのサービスが入り口となるスマートフォン時代の“中心のないポータル”の構築を目指す「Syn.(シンドット)」構想を発表した。これに合わせて、新たな団体「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」を設立し、メンバー企業に総額約120億円を出資する。
PCの時代には「Yahoo! JAPAN」などのポータルサイトが入り口となり、そこからニュースや天気、路線案内などの各種情報へアクセスすることが一般的だった。しかし、スマートフォンの普及により、消費者はホーム画面上に好みのサービスのアプリを配置するなどして、直接求める情報へとアクセスするようになっている。
ただし、消費者が利用するサービスの数は限られている。Syn.allianceによれば、スマートフォン向けアプリの平均ダウンロード数は38であるのに対し、実際に週1回以上利用しているサービスの数は8つに留まっているという。また、現在はそれぞれのサービスは連携せず点在している状態のため、自身が求めるサービスと出会えない消費者も少なくないと、Syn.allianceは説明する。
こうした消費者行動の変化や市場を鑑みて、Syn.では端末やOS、さらにはネットとリアルも問わないオープンな市場で、新たなユーザー接点の構築を目指す。第1弾の取り組みとして、10月16日よりSyn.allianceのメンバー企業が提供する13のサービス内に、共通のサイドメニュー「Syn.menu(シンドットメニュー)」を設け、カテゴリを選んで各サービス間をシームレスに行き来できるようにする。もちろんNTTドコモやソフトバンクモバイルの端末でも同様だ。
それぞれのカテゴリのサービスは、ビューティーが「@cosme」、ゲーム情報が「ゲームギフト」、天気が「ウェザーニュース」、ニュースが「報道ヘッドライン」、カレンダーが「ジョルテ」、音楽・コミックが「音楽ナタリー」「コミックナタリー」、ノウハウが「nanapi」、地図・交通が「NAVITIME」、ブックマークが「はてなブックマーク」、ファッションが「iQON」、ランキングが「Qrank」、タイムセールが「LUXA」。
現在は、基本的に1カテゴリにつき1サービスのみだが、将来的にはユーザーが好みのサービスをカスタマイズできるようにすることも検討する。また、たとえばカレンダーと地図サービスなど、それぞれの領域のサービスの連携も検討していきたいとしている。
Syn.内の各種サービスの新着情報は、共通サイドメニューであるSyn.menu上で通知される。また、Syn.menu上で表示される広告メニュー「Syn.ad(シンドットアド)」も提供する。Syn.menuはメニューボタンをタップするまで表示されないため、コンテンツを妨げない形で、スマートフォン上に大型サイズの広告を表示できるとしている。
Syn.allianceによれば、これら12社13サービスのスマートフォンにおける月間利用者数は合計4100万ユニークユーザーとなるという。この大規模なユーザー基盤と、複数サービスの回遊を促す共通の仕組み、そして各カテゴリの上質なサービスの融合によって、これまでにないモバイルインターネット体験を提供したいとしている。1年後には合計ユニークユーザー数を1億人まで拡大したいという。
なお、KDDIは「音楽ナタリー」「コミックナタリー」を提供するナターシャを8月に買収しているほか、「LUXA」を運営するルクサ、「ゲームギフト」を運営するAppBroadCast、「nanapi」を運営するnanapiに出資している。今回、新たにnanapiと「Qrank」を提供するビットセラーを買収したことが発表された。
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