9月22日、ジャストシステムは同社の日本語変換システム「ATOK」をiOS 8搭載のiPhone/iPadなどに対応し「ATOK for iOS」としてリリースした。App Storeからダウンロードできる。価格は1500円だ。
AppleのモバイルOSである「iOS 8」がサードパーティー製キーボードに対応したことから、既にMetaMojiやバイドゥなどがiOS向けキーボードとして手書き入力や独自の漢字変換システムをリリースし始めた。その中でも待望の日本語入力アプリとして注目されているのが、ATOK for iOSだ。
開発を担当したジャストシステム コンシューマ事業部 開発部の入江賢治氏に話を聞いた。
iPhoneが日本で発売されたのは2008年夏。以来、これまでの間、iPhoneを使っているユーザーは、Appleが提供する日本語入力環境を利用してきた。ATOKは完全ではないまでも自由化されたiOSの日本語環境に対して、新たにチャレンジする。
ATOKは、ワープロソフト「一太郎」の前身となった「JS-WORD」に搭載されたかな漢字変換システムとして1983年に商用で提供されるようになった。その後MS-DOS、Windows、Mac向けに提供されてきたが、ケータイやゲーム専用機などの日本語変換機能として搭載されてきた。
そして2011年、すでにキーボードアプリの提供が可能になっていたAndroid向けに、ATOK for Androidがリリースされた。iPhoneやiPadでATOKによる日本語入力を行うためには、「ATOK Pad」や「Tweet ATOK」というアプリを利用しなければならなかった。
日本語入力の往年のブランドが、新たなプラットホームに参入する際の目標は何だったのだろうか?
「iOS標準のIMEに慣れたユーザーに、ATOKとしてどのような提案をすべきかを考えました。また、ユーザーの皆さんは、キーボードが触りたくてATOKを使うのではない、という点も意識しました。こうした点から、iOS史上最高の日本語変換を目指しました」(入江氏)
入江氏は、ATOKのデザインは「羊の皮を被った狼」という表現を使っていた。確かに、ATOKらしい配色や特徴をもっとアピールしても良さそうなところだが、非常に控えめで、iOS 8標準のキーボードよりもよりライトな感覚に仕上がっている。スマホではあくまで「アプリが主役」という関係性を崩さないよう、OSに馴染むように心がけた。
しかし「中身はスゴイ」と入江氏は説明する。これまでのスマホ向けのATOKはデスクトップと異なる変換エンジンで最適化を施してきたが、今回のATOKには、デスクトップ向けのエンジンを踏襲する「ATOK EV Engine」を搭載した。変換精度とスピードを追求していける環境であり、発展性も高いとみている。
入力例として「登場人物が搭乗カウンターに近づいた」という入力を行っていたが、これもきちんと変換していた(ちなみに、筆者のMacの環境もATOKであり、iOS版と同様、すんなり変換ができた)。また、スマホならではの入力ミスも、正しい読みを推測して変換してくれる機能も便利そうだ。
こうした機能はPC向けのATOKで利用できる「校正支援機能」で、明示的ではないが、入力に対して校正した上での変換候補を示してくれる。そのため、「こんぼにえ」と入力しても「コンビニエンスストア」を予測候補に挙げてくれ、読みを正しく入力し直す手間が省ける。
もちろん正確なタイピングが行えるよう鍛錬することも楽しいが、こうした校正支援による入力サポートは、iPhone上での実スピードを高めるために重要な機能と言える。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス