ATOKは長年利用者がいる日本語入力の一大ブランドになった。長年の利用者にとって、ATOK用の辞書を自分の資産として利用している。こうしたデータをデバイスが変わっても使い続けられる環境を整えることは、ATOKにとっての1つの重要なテーマだ。
今現在、iPhoneとiPad向けに提供されているATOK for iOSには、こうした辞書の同期機能はまだ搭載されていないが、2014年第4四半期には対応させたいとしている。また、実は、iPhone向けにはQWERTYキーボードが、iPad向けにはテンキーがそれぞれ実装されていない。急ピッチでリリースしたことがうかがえるが、これらも順次対応を進めていくという。
また拡張辞書の追加や辞典との連携なども整えて行く予定で、採用したATOKのエンジンはこうした拡張性に対応していけるという。
ATOK for iOSの開発の検討が始まったのはWWDC14が行われた2014年6月。カスタムキーボードが新OSでサポートされることを知りリサーチを始めたというが、最終的にiOS向けにATOKとしてリリースできると決定できたのは8月だったという。
入江氏はiPhoneを利用していて、タッチパネルとフリックという入力方法の虜になっていた。しかしATOKを動作させられないという理由から、普段使うスマートフォンもAndroidに変わっていたという。特に本格的に仕事で使用する場合、手に馴染む日本語入力環境を前提に機種を選ぶ人もいるだろう。
こうした人に、ATOK for iOSは、iPhoneに戻る一つのきっかけになるだろう。
また、筆者も利用しているATOKの定額制サービス「ATOK Passport」は、Appleの課金システムとの関係上から、現在は対応しておらず、ATOK Passportのユーザーであっても、1500円のアプリを購入しなければならない。この点についても、是正したいとしていた。
LINE、メッセージ、Twitterなど、スマートフォンのカメラが高性能化されても依然として文字を媒介してコミュニケーションが行われる場面が多いスマートフォン。その日本語の部分を大きくアップデートしてくれるATOKはおすすめである。また辞書や操作方法などで、ATOKを知らない若い人たちへの訴求についても考えるそうだ。
Twitter等で、ユーザーの声に耳を傾けながら、要望の多い機能に優先順位をつけているという入江氏。信頼できる日本語入力を、ユーザーと育てていく姿勢もまた、言語への取り組みとしてふさわしいのではないだろうか。
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