我々の生活の中で、オンラインでのショッピングはだんだん一般的なものになりつつある。経済産業省の調査によると、2013年(平成25年)、日本国内の一般消費者向けEコマースは11.2兆円に拡大し、これは前年比17.4%の増加となっている。米国でも2013年に、2620億ドル(およそ26兆2000億円)の規模を誇り、成長率は13%だった。
スマートフォンの普及により、いつでもどこでも商品を見つけ、その場で購入したり、ウィッシュリストに入れたりできる。また、AppleのApp StoreやGoogle Play Storeのようにアプリを購入したり、Kickstarterのようなクラウドファンディング型のコマースも登場している。さらに、リアル店舗とネット上を組み合わせるオフラインtoオンライン(O2O)によって、通常の小売りとオンラインの融合が行われるなど、多様化が進んでいる。
今後ますますオンラインでの購買が進むことが予測される中で、我々はどのようにして新しいデジタルの購買をとらえればよいのだろうか。
シリコンバレー・パロアルトに本拠地を置く企業、Slice。日本のEコマースの巨人、楽天が買収したことでも知られている企業だ。創業者でCEOを務めるScott Brady氏は、拡大するEコマースと、これらを利用する我々の生活の中での問題解決を目指していると話す。
ユニークなのは、データサイエンスから出発したという点だ。
「Sliceはデータサイエンスのプロジェクトからスタートしました。ユーザーは、Eコマースを通じて、膨大な量のデータを受け取ります。しかし、誰ひとりとして、受け取ったこれらのデータを元に行動することはできていません。そこでSliceは、これらのデータを分析し消費者に有益な情報を提供すること、そして我々がどのようにして消費活動をしているのか、理解できるようにすることを目指しています」(Brady氏)
Sliceが消費者に作り出そうとしているメリットについて、Brady氏は次の3つを挙げた。それは、Eコマースで受け取る膨大なデータを整理すること、購入した商品の価格変化やリコール情報を追跡すること、受け取った情報を1つの画面に統合して見られるようにすることだ。
Brandy氏は、「Eコマースでユーザーが膨大な量のデータを受け取っている」と言うが、我々にその自覚があっただろうか?
ECサイトのブランド(例えばAmazonやUNIQLO)、購入した商品とその種類、価格、値引率、支払い方法、購入日、送り先住所、お届け日、配送会社と荷物番号など。普通にオンラインで買い物をすると、こうした情報をに触れることになる。ただ、ウェブサイトのページの上で流れに乗って出てくるだけで「受け取っている」という感覚は筆者にはなかった。
しかし、ECサイトで購入すると、ほぼ必ず「確認メール」「注文メール」といった形でメールが届く。こうして、ユーザーはその購買にまつわるほぼ全ての情報を受け取るのだ。Sliceはこうしたメールを解析することによって、ユーザーが持つEコマースに関する情報に目をつけたのだ。
ECサイトでの購買は、商品が決まれば、後は価格と、商品がきちんと届くことにフォーカスが移る。しかしこれらのデータを活用することで、消費者に利益をもたらすことがSliceの目指すところだ。
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