楽天は9月9日、ネット通販関連サイトを運営する米Ebates(イーベイツ)を買収することを発表した。Ebatesの全株式を約10億ドル(約1060億円)で10月に取得する予定。
今回の買収について、同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は「これまでのクローズド型のネットショッピングモールから、オープン型のショッピングサイトに進出していくという意味で、米国で大変大きな一歩を踏み出した。将来的には次世代のECプラットフォームを作っていきたい」と話した。
また同社EC事業における流通総額の海外比率について「これまで6%だったが、Ebatesを加えると16%になる」と説明し、「2020年頃には50%に高めたい」と述べた。
1999年に設立されたEbatesは、会員制オンラインキャッシュバックサイトを運営している。会員はEbatesを経由して外部のECサイトで買い物をすると、キャッシュバックやクーポンを得ることができる。
出店者は大手専業ECサイト、ECに注力するリアル小売店、オンライン旅行代理店など、2600以上の企業。総会員数は約1000万人で、その内ロイヤリティの高いアクティブ会員は約250万人という。海外ではカナダのほか韓国や中国、ロシアでサービスを展開し、2013年度決算では流通総額22億ドル、売上収益1億7000万ドル、営業利益1367万ドルが計上されている。
2005年に楽天がアフィリエイトサービスを手掛けるLinkShareを買収して以来、ECや広告ビジネスの関連領域において米国事業を拡大する過程で、Ebatesと信頼関係を築いてきたという。
楽天はEbatesについて「会員ビジネスを基盤としていること」から、親和性が高いと考えている。今回の買収により、楽天市場とEbatesを連携させ、米国をはじめとした海外市場でキャッシュバックやポイント還元の仕組みを整える。
三木谷氏は「出店者から見れば、楽天市場のモデルはコンバージョンレートは高いが(サイトの作りを変える必要があるなど)手間が掛かる。Ebatesの場合はそういう手間が一切要らない」と説明する。
「将来的には2つをコンビネーションすることによって、新しい形のショッピングモールを作っていきたい。たとえば、楽天のショッピングカートでEbatesの商品もすべて買えるようにしていく。これにより、今までネットショッピングモールに参加してこなかった大手の店舗が、楽天のエコシステムの中に入ってくる」(三木谷氏)。
9月9日の会見では、楽天が8月に買収したSlice Technologiesにも触れた。同社が提供する「Slice(スライス)」は、“電子レシート”を使うことで、自分がそのサイトで何を買ったかが一目でわかるというサービスだ。楽天はSliceとのシナジーとして「ECと広告ビジネスの加速度的成長」を期待する。
「楽天の戦略はだんだんデータ・ドリブンになってきている。消費者全体の行動を把握することによって、有効な一手が打てるようになってきた」(三木谷氏)。
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