Adonitは6月、iPad用スタイラス「Jot Touch with Pixelpoint」を発表した。Adonitのスタイラスシリーズ「Jot」といえば、ペン先に導電性を持った透明なディスクと直径1.5mmの球状のボールポイントつなぎ合わせた機構で知られている。だが、Jot Touch with Pixelpointは、前モデル「Jot Touch 4」でも使用されていた同機構は採用せず、新しいペン先を搭載している(詳細については、「iPad用スタイラス「Jot Touch with Pixelpoint」レビュー--ペン先が変わった新モデルの使用感」を参照)。
ここでは、Adonitが新しいペン先の採用を決定した背景、その形状や大きさが決められた過程、開発において難しかったこと、さらに、同ペン先がAdobeのスタイラス「Ink」に採用されたいきさつなどをAdonit関係者に聞いた。
Adonitの最高エクスペリエンス責任者(CXO)Kris Perpich氏:Appleの「iPad」発売以来、その人気によって、タッチスクリーンの使用頻度は私たちの日常生活において加速的に増えました。タッチ技術は、デジタルの世界をより手で触れられるものに変えています。私たちは、指を使ってあらゆるコンテンツをドラッグ、ズーム、パンすることができるようになっています。クリエイティブなマインドを持った人間として、私たちは、タブレットが自分たちの作業方法をいかに変えるかをすぐに理解しました。その作業の中心にあるのはペンや鉛筆などの筆記用具です。私たちは何百年もの間、ペンや鉛筆を使って自らのアイデアを紙に書き留めてきました。
Adonitの最高デザイン責任者(CDO)Peiter Buick氏:タブレットにおいてこれら筆記用具に相当するものが「Jot」です。Jotの中核は、常に「iOS」マーケットで最も自然で正確な描画を可能にするスタイラスであることにあります。これは容易なことではありません。それというのも、iOSデバイスが感知可能なのは、特定の大きさのものによるタッチだけだからです。皆さんが目にする多くのスタイラスが、大きなゴムのペン先を持っているのはそのためです。私たちが透明ディスクを最初に設計した時、ディスクを通して見えるようにすることが正確さを得るのに役立つのではないかと考えました。そして、その通りとなりました。しかし、自然さにはいまひとつ欠けました。細いペン先をスタイラスに搭載する方法が分かれば、スタイラスはより自然で正確なものになる、と私たちには分かっていました。
Perpich氏:ペン先の形状と大きさは、Pixelpointテクノロジが持つ制限とともに、自然な書き味のペン先を見つけることで決まりました。何百ものプロトタイプを繰り返し作り、カスタマーテストを実施することで、書き味に優れ、最高レベルの正確さを提供するソリューションを見つけています。
Buick氏:それは、何百ものプロトタイプ作成の繰り返しにおいてトレードオフの連続でした。私たちが必要としていたのはできるだけ小さなペン先ですが、ペン先が小さくなればトレードオフの犠牲になることを学びました、また、ペン先の形状にも注目しました。人々がスケッチする様子を見ると、「ペン」の持ち方を常に調節し、目的に応じて異なる方向に傾けます。私たちは様々な形状のペン先を試しましたが、最終的に分かったのは、わずかに丸みを帯びた先端が場所から場所への移動時に最も自然な感じを与えるということでした。
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