iPad用スタイラス「Jot Touch with Pixelpoint」開発の裏側--自然で正確に描けるスタイラスを目指して - (page 2)

河部恭紀 (編集部)2014年09月17日 07時45分

--Jot Touch with Pixelpoint用に新しいペン先を開発する際、最も難しかったことは何でしょうか?

Perpich氏:タッチスクリーンは、指先大のものに反応するよう設計されています。一部のタブレットは、あるレベルの付加的な技術を使い、タッチスクリーンに埋め込むことでスタイラスをサポートしています。しかし、その結果として、それらタブレットの小売価格には100ドルが上乗せされます。Appleは以前から、そのような技術を追加する必要はないと考える一方で、指先で十分に使えるスクリーンを開発することに注力しています。

 私たちはiPad上でデザインをしているので、正確な描画が可能なスタイラスをiOS向けに開発することは、私たちにとって常に重要なことです。そのため、iPadの動作を流用してスタイラスとともに上手く機能させるための技術を開発し続けています。私たちは、Kickstarterに登場した創業当初やJotを最初に発売した頃から、このことを透明ディスクで解決していました。透明ディスクで指先の大きさを擬似的に作り出しつつ、ユーザーには正確さを与えたのです。初代「Jot Touch」においても、iPadのBluetoothは、キーボードやヘッドフォンとのみ動作するよう設定されていました。そのため、私たちは、Jot Touchをヘッドセットとして接続し、筆圧やボタンの押下を音として当社のSDKに伝える必要がありました。そして、SDKは、そのような情報を解釈してアプリに伝えることで、筆圧を考慮した描画を可能にしていました。

 Pixelpointでも違いはありません。スクリーンは指先大のものを検出しようとしますが、私たちが必要としているのはもっと小さなものです。そのため、タッチ技術で使われているグリッドをリバースエンジニアリングし、タッチが伝わる様子を理解する必要がありました。各スクリーンでタッチグリッドは異なります。iPadの異なるバージョン同士でも異なります。

Adonitの最高技術責任者(CTO)Zach Zeliff氏:スタイラスのペン先を感知するよう本来設計されていないというiOSデバイスが持つ性質のため、互換性と一貫性があるソリューションを作り出すことは課題でした。スクリーンタイプやアーキテクチャの変更を理由に、利用可能な最良のソリューションを作り出すことは継続的な開発を必要とします。

 また、ペン先を定期的に交換する必要性をなくすという問題もありました。標準的なゴム製のペン先を持つスタイラスは、短期間で摩耗し、1カ月程度の使用で使えなくなります。この問題を解決するため、私たちは、十分に長持ちするペン先を開発しており、それにはより良く洗練された材質を使用しています。現在のペン先は耐久テストにおいて、ガラス上で最大90km使用しても摩耗しないことが分かっています。

--Jot Touch with Pixelpointも「Jot Script」もPixelpoint Technologyをサポートしていますが、Jot Scriptのペン先はJot Touch with Pixelpointに採用されていません。それはなぜでしょうか?

 Buick氏:私たちは、初代Pixelpoint搭載Jot Scriptの開発で多くのことを学びました。新しいJot Touchに採用されたPixelpointのペン先は、同技術の進化系としてより高い感度やコントロールを備えるとともに、より多くの画面をサポートしています。

--Jot Touch 4のショートカットボタンと比べた場合、Jot Touch with Pixelpointのショートカットボタンは大きくなっています。このアイデアはどこから来たのでしょう?

Buick氏:私たちは、顧客がJot Touch 4を使う様子を長時間にわたり観察しましたが、その過程においてショートカットボタンについて2つの重要なことを学びました。

  • ショートカットボタンがペン先部分に近すぎるため、誤って押しやすくなっている。
  • ショートカットボタンを押そうとしたとき、ボタンを見つけづらい。

Adonitの最高デザイン責任者(CDO)Peiter Buick氏
Adonitの最高デザイン責任者(CDO)Peiter Buick氏
提供:Adonit

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