楽天市場の“二重価格表示”に18人の従業員が関与--2010年以前から

 楽天は4月25日、通販サイト「楽天市場」の店舗による不当な二重価格表示に、同社の従業員18人が関与していたことを発表した。報道を受け、コンプライアンス担当の役員などで構成される「社内調査委員会」を設置。外部の専門家の協力による調査の結果、不当表示への関与が明らかになったとしている。

 2013年11月、プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天イーグルス)」の優勝を受けて、大幅な割引などを謳った「楽天日本一セール」が開催された。しかし、実際にはこのセールで販売された複数店舗の商品が、通常販売価格より値上げした状態で割引を適応する、不当な価格表示(二重価格表示)をしていたという。

 楽天では3月20日、ECコンサルタント事業を経験した在職者661人にメールを送り、出店店舗に不当な二重価格表示を提案したり、他のコンサルタントが提案していることを知っているかを聞いた。また、4月3日には楽天市場の全店舗4万1993店にメールを送り、従業員から不当表示を提案されたことがあるかを任意で聞いた。その後、提案した疑いのある従業員には詳細な聞き取り調査を行ったという。

 これらの調査の結果、18人の従業員が合計28店舗(全体の0.06%)に、不当表示を提案していたことが明らかになったという。従業員が最初に提案した時期は、2010年以前が3人、2011年が6人、2012年が2人、2013年が7人だった。2014年以降の提案行為は確認されていないという。

 不当表示の主な提案方法は電話だが、対象者の所属や提案時期にバラつきがあることから、楽天は「組織的に行われたものではない」と説明。また、提案日時や対象商品などが特定できないことから、不当表示が店舗の売上にどのような影響を与えたかについては確認が困難とした。

 楽天では騒動を受け、2013年11月から再発防止策を実施。不当表示ができないシステムやガイドラインを設けたほか、ECコンサルタントに定期的にヒアリングする「営業倫理委員会」を設置。さらに、内部監査部内に楽天市場専属の新組織を設置し、監視体制を強化するとしている。また、経営の責任を明確にするとして、常務執行役員1人の月額報酬を6カ月間10%減俸・返上するほか、執行役員3人の月額報酬を6カ月間10%減俸するとしている。

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