Googleが10年前に上場してから、テクノロジ業界は劇的に変わった。Googleの新規株式公開(IPO)と同社の共同創業者は、その進化に大きく関わっている。
10年前、Googleの共同創業者であるLarry Page氏とSergery Brin氏は、世界に向かって同社の有名なマントラである「Don't Be Evil」(悪をなすな)を宣言した。
この3語の誓いは、「世界にとってよいことをする」という約束であり、2004年の新規株式公開前にPage氏とBrin氏が潜在的な投資家に向けて書いた、4000語という異例の長さのレターの中で紹介された。そのメッセージは明らかだ。Googleはウォール街で売り買いされる企業の1つになるが、普通の企業ではないと宣言したのだ。
Page氏は、そのメッセージの最初の行で、その発想の元になった億万長者の投資家であるWarren Buffett氏の言葉を引いて、「Googleは普通の企業ではない。われわれはそれを目指さない」と書いた。さらに、「しかし、公開企業の一般的な構造は、これまでのGoogleの成功にとってもっとも重要であり、われわれが今後ももっとも重要な基盤であると考えている、独立性と客観性を脅かす可能性がある。このためわれわれは、Googleのイノベーションを起こす力を守り、そのもっとも大きな特色を維持するために設計された企業構造を採用した」とも述べている。
2014年8月19日で、Googleが上場してから10年になった。その道程は、その後生まれた数多くのテクノロジ企業の規範となっている。
検索エンジン企業である同社はNASDAQに上場し、19億ドルの資金を調達した。この額は、2012年に株式公開したFacebookの160億ドルや、中国の巨大電子商取引企業AlibabaのIPOで予想されている約200億ドルと比べると、小さく見えるかもしれない。
しかし、2004年8月には、世界の様子はかなり違っていた。当時、Facebookは生後数カ月にすぎなかった。Appleが「iPhone」発売するのは、これよりも約3年後だ。そして、Googleは検索の会社として知られており、ほかにはあまりなかった。(「Gmail」はその年の4月にリリースされたばかりで、まだ初期の段階にあった。GoogleはこのIPOの2カ月後にKeyholeを買収しており、これが「Googleマップ」の基礎となった)。
GoogleのIPOはそのすべてを変えた。同社は依然として検索の世界を支配しているが、今ではモバイル用ソフトウェアである「Android」やオンライン動画サイト「YouTube」に加え、自動運転車やWi-Fiを搭載した気球などの、世界を一変させる可能性のある野心的なプロジェクトを進めている。2014年の売上高は670億ドルとなる見通しであり(2004年には31億8000万ドルだった)、Googleの時価総額は4000億ドル弱に達している。IPO当日の株価は、初値が85ドルで終値が100.34ドルだったが、本校執筆時点(米国時間8月18日)の終値は582.16ドルだった。
その後Googleの影響力は大きく広がり、その市場支配力が批判されることもある。同社は米国や欧州の規制当局とも衝突し、ユーザーデータに対するGoogleの支配力を危険視するプライバシー保護活動家たちの標的にもなっている(Googleの方針に抗議する批判的な人たちは、好んで「悪をなすな」のマントラを引用している)。
このIPOがその後10年間のためのステージを準備したが、Page氏とBrin氏が望んでいたほどスムーズにはいかなかった。株式の公募価格は108ドルから135ドルと予想されていたが、最後になって85ドルに下がっている。また、Page氏とBrin氏がPlayboyから受けたインタビューが、米証券取引委員会のIPOルールを破ったとみなされ、同委員会の怒りを買ったりもした。
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