あらゆる上場はその企業にとって重要な瞬間だが、GoogleのIPOはそれ以降のテクノロジ企業のIPOだけでなく、テクノロジ業界全体にも影響を与える一種の解放を引き起こした。これをどう捉えるべきかを知るために、IPOストラテジストのClass V Group創設者であるLise Buyer氏の話を聞いた。Buyer氏は2006年までGoogleのビジネス最適化担当ディレクターを務めた経歴を持ち、同社のIPOを実施したチームの一員だ。Buyer氏によれば、Page氏とBrin氏がIPOに関して「奇妙」なアイデアを思いついたとき、同氏はそれにもっとも懐疑的なメンバーだったが、最後にはそのアイデアの信奉者になっていたという。
以下では、GoogleのIPOがテクノロジ企業のIPOと、それらの企業が株式会社を運営するあり方を変えた4つのポイントを挙げる。Googleはこの話に関して同社の役員の話を聞かせてくれることはせず、同社のIPO目論見書にあるPage氏とBrin氏のレターを参照するようにとのことだった。
Page氏とBrin氏は投資家へのメッセージを「オーナーズマニュアル」と呼び、その出だしとレターの名前を、Berkshire Hathawayの創業者であり、株主に頻繁にエッセイやレターを書くことで知られるBuffett氏から借りた。Googleのレターは主にPage氏が書いている。
この慣行は、今ではかなり一般的になった。Facebookの最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏は潜在的な投資家への創業者のレターで、「Facebookはもともと企業にするために作られたものではなかった」と述べている。Alibabaが5月にIPOの申請を行った際に、共同創業者のJack Ma氏のレターが書類に含まれていなかったことは、むしろ驚きで迎えられた。
しかし2004年には状況は異なっており、企業が悪をなさず、「短期的な利益を見送っても」長期的なアプローチを取ると書かれた声明を見るのは、控えめに言ってもまったく新しいことだった。「そんなアイデアはばかげていると言われた」とBuyer氏は言う。
Googleは新株発行時に異端的な手法を用いた。同社はインターネットを使った逆オークションを使用した。これはIPOの売出価格を投資家の入札に基づいて決める方式で、より多くの人に株式が行きわたる。逆オークション方式を採用したことで、Googleがどの程度の恩恵を受けたかについては議論がある。Buyer氏も「完璧な取引だったとは言えない」と認めるが、当時の同社にとっては正しい選択だったと主張する。
GoogleのIPOは逆オークションによる新株発行の流行を作ることはなかったが、象徴的な出来事だったことは確かだ。いつも同じやり方で行われていたプロセスを、別のより効率的な方法でやってみようとするのが、Page氏とBrin氏のやり方だったとBuyer氏は言う。逆オークションも、Googleがさまざまなプロジェクトに当てはめてきた大胆な考え方から出てきたものだ。例えば、Googleはソフトウェアで動く自動車によって、運転の非効率性をそぎ落とそうとしている。
「あのプロセスは普通ではなかった。だが、あれはGoogleが普通の企業ではないと投資家に印象付けた」とBuyer氏は述べた。
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