同社は、テクノロジ企業の創業者のルールを書き換えた。Googleはデュアルクラスの株式に基づく企業構造を作り出し、これにより創業者の決定権を守った。この構造は当時テクノロジ企業では一般的ではなく、コンテンツの内容にビジネス側からの影響を受けることを懸念するメディア企業でよく使われていた方式だった。Page氏は同様の構造を持つ企業として、The New York Times Companyの名前をレターの中で挙げることまでしている。
Page氏とBrin氏は、同じ原則をGoogleにもあてはめたいと考えた。短期的な利益よりも長期的な計画を優先した判断をした時に、株主に干渉される心配をしたくなかったのだ。
その他の有名なテクノロジ企業もこれに倣った。FacebookとLinkedInは、どちらもデュアルクラスの構造を用いている。Facebookは2012年5月、LinkedInは2011年5月に上場している。
GoogleのIPOは、同社の検索以外の重要なプロジェクトへの道を開いた。同社にキャッシュをもたらしたのだ。しかも多額のキャッシュだ。しかし同じくらい重要なのは、(部分的には)デュアルクラス構造によって投資家からの圧力をあまり感じずに済んだPage氏とBrin氏が、収益部門である検索事業以外での取り組みと実験に時間をかける判断をしたことだろう。
IPOのちょうどほぼ1年後、GoogleはモバイルソフトウェアメーカーのAndroidを買収したが、今では、世界のスマートフォンの大半でこれが動いている。「最初は、Androidに取り組むことに罪悪感を持った。われわれが買収したのは、小さな新興企業だった。それまで自分たちが本気で取り組んでいたこととも違っていた」とPage氏は3月に述べている。
「だが、それは馬鹿な考えだった。それこそが未来だったんだ」とPage氏は述べた。IDCによれば、GoogleはAndroidを、80%の市場シェアを持つ世界でもっとも人気のあるモバイルOSに押し上げた。
同じ考え方が、同社の「Moonshot」と呼ばれる、技術的な飛躍を狙う方針にも当てはまる。無人自動車やネットワークに接続された眼鏡などがその例だ。Buyer氏は、「誰も、しばらくは収益が上げられないような大きな投資ができない企業は望まないはずだ」と話す。
Googleが「悪をなさない」という公約に従ってきたかどうかについての答えは、誰に尋ねるかによって異なる。Googleの会長であるEric Schmidt氏は5月、NPRに対して「ポイントは、実際に何が悪なのかはよく分からないとしても、『悪をなさない』というルールがあれば、従業員は自分はそれは悪だと思うと言えるということだ」と述べている。
しかし創業者2人にとっては、これは「最善の方法で世界を変える」というシンプルなことだ。少なくとも、彼らが変化をもたらしてきたことは否定できない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」