「18歳からの著作権入門」。1週間の夏休みが終わって、連載再開です……ひゃっほう。
今日は「こうすれば作品を活用できる」の第7弾。……別にどうでもいいよ第何弾でも……マスターして夏休み明けに友達と差を付けようぜクリエイティブ・コモンズ、です。
さて、「クリエイティブ・コモンズ」(Creative Commons)などのパブリック・ライセンス。これはどういうものかと言うと、前回JASRACなどの権利管理団体の話をしましたね。夏休み前の、1年で一番幸せだった遠い昔に。たとえば、JASRACは国内外のほとんどのプロの楽曲を数百万曲というレベルで管理していて、そこに申請すれば幅広い利用の許可を得ることができます。これは素晴らしいことです。しかし、今や世の中にある音楽・画像・文章などの「作品」は、それをはるかに上回るペースで激増を続けています。
たとえば現在、YouTubeには1分間に100時間分以上の動画がアップされ続けていますし、後述する写真投稿サイト「Flickr(フリッカー)」にアップされた写真は、すでに100億枚を超えます。そのほとんどはいわゆるプロではない方が作ったもので、JASRACのような権利団体は著作権を管理していません。そもそも、音楽以外の多くの分野では、数百万はおろか数十万というレベルですら、統一の窓口で利用許可を取れる仕組みは存在しないのです。
ですから、ネット上でおもしろい作品があふれていても、それを皆さんが見つけて自分のウェブページに転載したいとか二次創作に活用したいと思ったら、個別の許可が必要になります。その連絡や交渉は、決して容易ではありません。
しかし、実際にはこうした多くのクリエイターは、自分の作品を売って生計を立てている訳ではありません。複雑な仕組みで利用を許可して対価を貰いたいとは必ずしも思っておらず、むしろ自分の作品が人々に愛されて広まるなら、それだけで嬉しいという方が多いでしょう。あるいは、作品を売ることに興味があるとしても、世の中には作品があふれていますから、まずは目立って人々に評価されなければいけません。作品を見てもらい、気に入って広めてもらわないと話は始まらないのです。
そこで、「パブリック・ライセンス」という仕組みが注目を集めています。これはクリエイターが作品を発表する際に、人々が利用できる条件を最初から記載してしまうのです。つまり社会の不特定多数の人々に対して、初めから一定条件で利用を許可して作品を公開してしまう訳です。例えば「非営利目的なら自由に使って良いよ」という具合ですね。人々はその条件を守るなら、クリエイターに個別に連絡を取ることなく、自由に作品を使うことができます。利用条件を守らず使えばどうなるか?それは単なる著作権侵害です。パブリック・ライセンスがない通常の作品を、誰かが黙って使った場合と同じですね。
こうした試みは世界的にも多くて、フリーソフトなどに使われる「GPL」は有名ですし、日本の文化庁の「自由利用」マークなどもあります。その中で、世界的に最も普及して4億点以上の作品に付けられており、今や世界72カ国に支部を持つのがクリエイティブ・コモンズ(CC)です。日本ではコモンスフィア(CCJP)という団体が管理しています。これは、次の4つの簡単なマークの組み合わせで、6通りのライセンス条件を選び、自分の作品に表示するだけ、というシンプルな仕組みです。
たとえば、選んだマークが「表示-改変禁止」なら、「私の名前を表示してくれる限りは、皆さん自由にビジネスにでも個人的にでも転載・ネット配信などに使ってください。ただし改変はいけません」という意味です。「表示」は原則として求められます。「表示-非営利-継承」なら、「名前を表示してくれる限りは、皆さん非営利目的に使ってください。改変・二次創作も自由です。ただし二次創作で出来たあなたの作品も同じCCの条件で公開してくださいね」という意味です。なお、「表示」は6通りのライセンスすべてに含まれており、必ず選ぶものとされています。
マークを付けたからといって、クリエイターは著作権を放棄する訳ではありません。あくまで著作権は持ちながら、条件に従った利用を社会に向けて広く認めるものです。ただし公開する以上、人々はそれを信頼して使いますから、使った相手への許可を自由に撤回することは出来ません。
さらに一歩進み、「CC0」というものもあります。これは著作権を基本的に放棄するもので、「私の名前も表示せずに、営利目的でも二次創作でも、自由に使ってください」という意味です。当然ですが、著作者本人がCCマークを付けることが原則です。人の作品に勝手にCCマークを付けて公開してはいけません。
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