書いた通り、CCマークは今や爆発的に普及しており、多くの有名なサイトでも取り入れられています。たとえば写真でいえば、前述の「Flickr」では投稿する際に人々はCCマークを付けるか選ぶことができ、今や2億点以上の写真にCCマークが付いているとされます。そういう条件で写真を検索することもできます。
ためしにFlickrで「penguin」(ペンギン)という言葉を入力して、検索結果をCCライセンス付きの条件でソートしてみましょう。膨大な数の、素敵なペンギンの写真が見つかります。これらは自由にダウンロードして、(作家名の表示など条件に従いさえすれば)皆さんの活動に使って良いのです。
YouTubeも、やはり動画を投稿する際にCCマークを付けるか選ぶことができ、また動画を検索する際にCCマーク付きのものを指定することもできます。YouTubeはまた、「動画エディター」というサービスを提供しており、そこでは自分がアップした動画とこうしたCC付きの無数の動画やフリー素材の音楽から自由にチョイスして、画面上で簡単にオリジナル動画を作り、そのまま公開することもできます。
音楽もあります。代表的な音楽投稿サイトの「SoundCloud」も同様にCCマークを取り入れていて、やはり無数の自由利用できる音楽を探すことができます。さらに、世界最大のネット百科事典「ウィキペディア」は、今やすべての記事にCC「表示-継承」がついており、転載はいつでも自由におこなえます。
ですから、たとえば大学のレポートにウィキの記事をコピペしても、出典さえ記載すれば著作権侵害ではありません。(もっとも、コピペの多いレポートが大学や各先生のルールとして許されるか、高い評価を受けるかは全く別問題です。)また、クリエイティブ・コモンズ自体が、こうした様々サービスを横断してCCマークのついた作品を検索できるデータベース「CCサーチ」を提供しています。
このように、CCは大きく広がりつつあり、たとえば初音ミクのデザインにもいまや採用されています。そのほかGoogleはもちろんTEDからOCWからVimeoまで、世界的に注目の多くのサービスが軒並みCCを採用しています。いわば世界的に相当いけてるトレンドが、クリエイティブ・コモンズなのです。(ちなみに筆者の事務所の法律コラムにも、CCマークが付いています。)
もっとも、クリエイティブ・コモンズにも課題はあります。ひとつは、それ自体では利用を許すだけで対価を貰う仕組みがないため、たとえわずかでも利用から収益が欲しいという方は使いづらい点です。ただ、CCとはつまりそういう思想のものですし、たとえば非営利利用は広く自由に認めて、営利目的で使いたい方からは別途連絡をもらう、といった作品の広め方も一般的ですね。
もうひとつの課題は、CCというのは「コピーは○だけど二次創作は×」という選び方も、「コピーも二次創作も○」という選び方もできますが、「コピーは×、二次創作は○」という選び方が現在では出来ないのですね。そういうマークが無いのです。そうすると、第12回でお話ししたような「二次創作・パロディ」を許したいという原作の作家がいた場合、少し選びづらいと言われます。
というのは、商業誌で連載中の漫画家さんや出版社などには、コミケ(コミックマーケット)の同人誌のような二次創作は構わないが、原作をそのまま配布されては商売あがったりだ、と思う方が少なくないからです。ですからCC「表示-継承」といったマークは付けにくいのですね。
こうしたことから、漫画家の赤松健さんの提唱で、CCを運営するコモンスフィアや筆者たちも協力して、2013年には「同人マーク」という新しいパブリックライセンスが発表されました。これはコミケなどの同人誌即売会での販売に限って二次創作は自由にどうぞ、ただし原作のまま配布するのはNG、というマークです。
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