これまで大きな変動が見られなかったスマートフォン市場。ところが、2014年になって新たなプレーヤーの躍進が目立つなど、動きが活発化している。1年前には想像もできなかった動きが各社の間で起きているのだ。2014年のスマートフォン市場はどうなるのか、下半期の動向を予測してみよう。
Strategy Analyticsの最新の報告によると、2014年第2四半期の全世界スマートフォンシェアでサムスン電子とアップルが共にシェアを下落させた。サムスン電子は出荷台数を前期比で8%落とし、シェアも30%を割り込む25.2%へ。一方アップルは出荷数を増やしたものの、シェアは11.9%と10%を割り込む可能も見えはじめている。
ではスマートフォン市場の王者として不動の地位を築き上げたこの上位2社に対し、下位メーカーの動きは同調しているのだろうか?3位以下のメーカーの動きを見るとファーウェイが出荷数をほぼ倍増させ、シェアは6.8%と3位につけた。またPCメーカーでもおなじみのレノボは5.4%で4位、さらには新興メーカーのシャオミ(Xiaomi)が出荷台数1510万台としシェア6位に一気に躍り出るなど、中国メーカーは着々と存在感を強めている。
中国メーカー各社は先進国市場ではまだまだ存在感は弱いものの、新興国では低価格製品を中心にシェアを大きく伸ばしている。たとえばシャオミは実質的にほぼ中国だけでこの出荷台数を記録しているのだ。HSBCのアナリストによると2014年のスマートフォン出荷の成長率は25%と予想されている。だがその内訳をみると先進国のその伸びは7%と鈍化しており、一方新興国では33%と先進国の約5倍が見込まれている。スマートフォンの販売数増加の鍵は新興国市場が握っているのだ。
新興国の中でも中国やロシアは3Gから4Gへの移行が進んでいるが、2G利用者が3Gを飛び越え一気に4G化する動きも見られている。これまでの歴史を振り返れば、最新技術に対応した製品は大手メーカーのハイエンドモデルが最初に販売され、新興国では一部の富裕層だけに手の届く存在であった。ところが今やその図式は過去のものとなり、4G対応スマートフォンはiPhoneやGALAXYだけではなく中国や地元メーカーの1万円台の製品もすでに登場しているのだ。
もちろんそれらの製品はCPU、カメラ、メモリ容量など基本的なスペックが抑えられたものが多い。先進国の視点で見れば一昔前の製品と見えるかもしれない。だがこれらの低価格スマートフォンはすでに「安かろう・悪かろう」のレベルを越えた品質を備えており、日常的に使う分には大手メーカー製品と比べても見劣りしないものが増えている。本体につけるカラフルなカバーや画面を保護するフィルム、さらには予備電池やヘッドフォンなど専用アクセサリを一緒に提供するメーカーも多い。無名メーカーのスマートフォンであっても自由なカスタマイズもできるのだ。
この流れはこれから新興国を中心にさらに拡大し、先進国においてもスマートフォンを高機能なITツールではなく友人とコミュニケーションを取るためのソーシャルツールとして考える層に広がっていくだろう。スマートフォンの低価格化は今まで以上に急激に進むと考えられる。
だがスマートフォンの技術革新は止まったわけではなく、画面の大型化や使いやすいユーザーインターフェース、デジカメを完全に駆逐してしまうほどのカメラ機能など、まだまだ進化する余地は残されている。GALAXY S5が心拍計を搭載したように、さまざまなセンサがスマートフォンに載るようにもなるだろう。そして4Gの普及が進めば新たなサービスも生まれ、スマートフォンの使い方も変わっていくはずだ。最近話題のウェアラブルデバイスも、スマートフォン側の進化と共により使いやすいものが生まれてくるに違いない。高機能・高性能・高価格なスマートフォンは各社がこれからも注力していく分野なのである。
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