企業や組織のリーダーを対象にしたGoogleの基幹イベント「Google Atomosphere Tokyo 2014」が、7月30~31日に開催された。今回は「働き方の、これから。 - Transforming Work」をテーマに多くのセッションが実施された。ここでは、グーグルのエンタープライズ部門 セールスエンジニアである橋口剛氏による「45分でわかるGoogle流!社内SNSからポータルまで次世代の情報共有プラットフォームのあるべき姿」の内容をお届けする。
橋口氏はまず、「イノベーション(=アイデア・発明)とコラボレーション(=共同作業)の相関関係は81%」というデータを示した。また、協業作業の多い従業員は新たなアイデアや提案の回数が2倍以上になるという。しかし、旧来型の階層型組織でのコミュニケーションは、下から上、上から下に届くまでに時間がかかり、熱が失われてしまう。また、伝達経路の途中に“変な上司”がいると、ブロックされたり間違って伝達される可能性もあると、問題点を指摘した。
規模とスピードを維持するために理想的なコミュニケーションは、タスクフォースベースで必要なスキルと情熱のある者が直接コミュニケーションでき、“変な上司”を迂回するコミュニケーションパスができる。そして質と量、スピード、耐障害性の高いコミュニケーションが可能であるとした。実際、この形態(ネットワーク型組織構造)は軍隊などでも採用されているという。Googleの組織モデルもこのタイプであり、タスクフォースが自律的に発生したり、有機的なコミュニケーションを形成したりしやすいと橋口氏は言う。
またGoogleでは、イノベーション、コラボレーション、スピードに常に取り組んでおり、コラボレーションにおいては「Share Everything」「食事は人をつなげる」「TGIF&モデレータ」を意識している。それぞれ「情報のあり方」「横のつながり」「縦のつながり」に対応し、食事からオフィスレイアウト、遊具まで、すべてコラボレーションを促進するための施策であるという。
さらに、組織形態とプラットフォームは変化を続けており、リアル会議・電話、メール、ドキュメント・ポータルといった旧来のプラットフォームに足りないものとして、速度・リアルタイム性の高いもの、情報量・質の高いものを挙げた。そしてそれらは、SNS、インスタントメッセンジャー、音声会議・Web会議、動画配信で対応できるとした。Google Appsでは、「メール・メッセンジャー」「カレンダー・ポータル」「資料作成と情報共有(オフィスとファイルサーバー)」「Web会議」がそれぞれ対応する。
これらを活用することで、個人の仕事をチームワークに、オフィスから場所を選ばずに、9時~5時からいつでも、パソコンから多彩なデバイスへと、スピードとコラボレーションを促進するワークスタイルへ変革できるとした。具体的には、アイデアの創出をSNSで、ディスカッションをメーリングリストで、コラボレーションと創作をドキュメントで、蓄積をファイルサーバーで、そして見える化をCMS(チームサイト)で行えるようになる。橋口氏は実際にこの流れのデモを実施、アプリをシームレスに切り替えながらコラボレーションしていく様子を再現した。
そして橋口氏は、企業内ポータルサイトについて言及、よくあるサイトとして「最大公約数のニーズに応えようとするため、無駄で希薄化されたコンテンツになってしまう」と指摘した。また、データの保管場所が6種類以上ある企業が全体の66%というIDCの調査を引用し、企業ユーザーはそもそもどのシステムに情報があるのかわからない状態であるとした。情報を探す時間をコストに置き換えると、1000名の知識労働者を雇用していた場合に年間約49億円にもなる。
すでに企業内の情報も手作業による管理は不可能であるとして、橋口氏は「Google Search Appliance(GSA)」を“黄色い箱”として紹介した。GSAは、企業に存在するあらゆる情報へ高速・高精度でアクセスするための窓口になるという。GSAを使用すると、社内ポータルのイメージが一変する。検索機能が中心となり、検索結果はウェブ、ファイルサーバー、データベース、グループウェアなど、あらゆるデータを対象とする。また、LDAPから社員情報を検索できる「ピープルサーチ」も搭載するほか、Google Appsの検索結果も表示される。
橋口氏は、検索は「人が求めるもの・意思」であり、すなわちニーズであるとし、Googleのビジネスモデルの本質である「検索」は、「ニーズ」と「情報・サービス」を結びつけることであるとした。エンタープライズサーチを導入することで、社内の情報への流路を一元化でき、それにより社内のニーズを理解し、必要な情報を提供するための手段が得られる。さらにGoogleは、「コラボレーション+検索+ビッグデータ」、つまりGSA、Google Apps、ビッグデータ解析の「Google BigQuery」によって、情報流通のPDCAを分析するためのプラットフォームを構築できるとした。
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