企業や組織のリーダーを対象にしたGoogleの基幹イベント「Google Atomosphere Tokyo 2014」が、7月30~31日に開催された。イベントのテーマは「働き方の、これから。−Transforming Work」。企業や組織が求められるべき働き方について考えるセッションや、Google製品のハンズオン体験などが行われた。
ここでは、Google エンタープライズ部門グローバルCEOセールス統括責任者のタルーン・バハナガー氏が登壇したセッション「地図の力で、ビジネスを可視化する」をレポートする。
スマートフォンの浸透によって、現在地や行きたい場所を検索したり、ナビゲーション機能を立ち上げたりすることが当たり前になってきた。これまでのアナログの地図とは違い、生活の一部となってきた「Google マップ」は、ただの地図から位置情報による可視化、ナビゲーションといったツールへと変化しており、今後は精密な位置情報との連動によって、新たなシフトが起きてくるとタルーン氏は語る。
すでに、我々はPCやスマートフォンなどの端末を平均して3台以上は保有していると言われている。さらに、ビジネスユーザーの82%は、日頃から位置情報をなんらかの形で活用しており、36%は企業がビジネスで位置情報のデータを活用するようになっているという。こうした状況では、可視化やナビゲーションによって、誰が、いつ、どこで、どういった位置情報を使ったかというデータが集まってくる。
タルーン氏は「現在1000億ドル規模と言われている地図や位置情報関連の市場は、2020年には4000億ドルもの市場規模があると見込まれている。位置情報による分析や可視化によって、新たなビジネスチャンスやイノベーションが起きると予想される」と語り、位置情報によるインサイトが、大きな要素になってくると説明する。
Googleは、直感的に利用できる地図、ITインフラ、そして開発者向けのツールを提供し、すべての開発者や組織が位置情報を使ったビジネスにイノベーションを起こすサポートをしていきたいという。そのひとつが「Map Engine Pro」だ。さまざまな自社データを地図上でレイヤー化するマッピングツールを順次提供していくという。
「自社データ、ローカル情報、衛星や航空写真、ストリートビュー、ベースマップといったものや、サードパーティのデータなど、さまざまなデータを活用し統合させるプラットフォームを提供し、新しいプロダクトを作るサポートツールを提供していきたい」(タルーン氏)。
数カ月後には、ロケーションデベロッパに向けてAPIの公開を予定している。大規模な地図作成と配信を可能にし、さまざまなGISデータ形式に対応し、オープンデータのサポートや他のシステムとの連携性や互換性を高めたものだという。さらに、位置情報だけでなくインサイトによる空間分析にも活用することが可能だ。
「高解像度航空写真や衛星写真を提供し、そこから地域や土地の様子を把握することで農産物の収穫分析や適地の選定、画像変化抽出などが可能となる。画像と位置情報によるインサイトによる新たな可能性を見出したい」(タルーン氏)。
さらに、Map Engine Proはインポートツールを利用することでスプレットシートとGoogle Mapを統合させ、地図上に情報を可視化させるという。「Google Map上で店舗、エリアごとの売上管理などのシートを可視化し、ビジネスに活かすことができる。スプレットシートと地図が融合し、より直感的な分析を行うことが可能だ。インサイトのためには、位置情報ベースのほうが理解しやすく、これまでのシート上の営業成績ではなく、地図に反映されることで見えてくるものがある」(タルーン氏)。
今後、データの可視化ツールの需要は高まると予想されており、より的確な意思決定や効率性など、位置情報ビジネスへの改革を促す可視化ツールの意義は大きいという。
また、スマートフォンなどのモバイルの普及によって、より精密な位置情報との連動が重要になってくる。そこで、生産性を高めるためのワークフォース管理として、「Map Coodinate」の提供も始めた。外出先のメンバーの位置情報を確認し、的確なタスクをアサインできる。さらに、beaconとの連動によって、屋内においても誰がどこにいるのかを詳細に把握でき、イベント時などの適切な人員の配置やリアルタイムマネジメントにも役立てられる。
デスクトップやモバイル上で地図にアクセスして共有することができ、さらにビジネスニーズに合わせた地図を自由に作成することが可能だ。タルーン氏は、Map Engine ProとMap Coodinateというビジネスユーザー向けの位置情報サービスを提供することで、企業内のメンバーと協働しながら的確な意思決定をしてもらいたいと語った。
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