シャープ、スマホ向け中小型液晶が好調--構造改革は「手を緩めることなく」

  • 2015年3月期第1四半期決算概要

 シャープは8月1日、2015年3月期第1四半期の連結業績決算を発表した。国内では消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動があったものの、欧州市場の景気回復や中国、米国での安定的景気拡大などにより、売上高は前年同期比1.9%増の6197億円、営業利益は同55%増の46億円となった。経常損失は前年同期のマイナス127億円からマイナス54億円、四半期純損失は同マイナス179億円からマイナス17億円にとどまり、前年同期からはいずれも大幅な改善となった。

 前年大幅な赤字となった液晶部門は、売上高が前年同期比6.8%増の2069億円、営業利益が95億円の赤字から21億円へと黒字転換した。また、液晶テレビを持つデジタル情報家電も売上高で同6.1%増の1686億円、営業利益が13億円の赤字から26億円へと好転している。

  • シャープ代表取締役社長の高橋興三氏

 この背景には中小型液晶事業の伸長が大きく寄与している。亀山第2工場の中小型比率は2013年度第4四半期の28%から、今期は35%にまで上昇。利益率の高い中小型液晶の売上構成比を上げることと、コストダウンにより黒字を確保したという。今後の成長ドライバについて問われると、シャープ代表取締役社長の高橋興三氏は「先日発表したフリーフォームディスプレイが成長ドライバの1つ。車載をメインにやっていくと思う」とした。

 一方、今期落ち込みを見せたのは、エネルギーソリューション部門だ。国内のメガソーラーなど、産業用は堅調に推移したが、住宅用の販売減、海外デベロッパー事業の売上減少などにより収益が悪化。売上高は18.1%減の690億円、営業利益は97.3%減の1億円と、大幅な減益となった。

 「エネルギーソリューション部門においては、太陽電池だけの事業は頭においていない。この分野におけるソースの1つが太陽電池という位置づけ。ソリューションビジネスは太陽電池よりはるかに大きなポテンシャルをもった事業。今期はその足がかりができたという意味が大きい」(高橋氏)と今後の方向を示した。

 円安の影響を受け、厳しい状況となった白物家電については「大きくは3つの方策を考えなければいけない。1つはアジアの重視。アジア経済は急伸はしないが、日本に比べて伸びは大きい。家電普及率も低くポテンシャルがある。2つ目は海外生産の商品を海外で販売していくこと。その比率を上げることで為替のヘッジをしていく。3つ目が新商品の発売。『ヘルシオお茶プレッソ』は当初1万2000台程度の計画だったが、すでに11万台を売り上げている。そうした新しい商品を出すことによって需要を作っていく。この3つの方策を実施することで、白物家電事業を安定化させ、さらに拡大させていく」と明確なビジョンを話した。

 シャープでは2013年に新規事業推進本部を新設し、新規事業にも力を入れている。「新技術は10個のうち1個成功するかしないか。失敗を繰り返して、はじめて1個、2個の成功に結びつく。それが技術だと思っている。気持ち的には1割バッターを目指そうという感じ。そこに従事しているのはそれほど多くの人数ではなく、少数の社員が強い意思と気持ちで取り組んでいる。投資の側面ではそれほど負担になってはいない。しかし将来を見据えると新規事業は非常に重要なもの」と位置づけている。

 シャープでは、2015年3月期通期の連結業績を売上高3兆円、営業利益1000億円、経常利益を500億円、当期純利益を300億円としており、前回予想を据え置いている。

 高橋氏は「第1四半期の実績は順調に推移し、中期経営計画については計画通りに進捗している。9月に到来する社債1000億の償還も確実なものとなった。今後も手を緩めることなく中期経営計画に取り組んでいく」とした。

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