パナソニックは7月31日、2015年3月期第1四半期(2014年4~6月)の連結業績決算を発表した。中国、ASEAN諸国での景気に伸び悩みが見られたが、日本での消費税増税後の需要減からの持ち直しや、欧米での景気回復基調などにより、売上高は前年同期比2%増の1兆8523億円、営業利益は同28%増の823億円となった。
税引前利益は同55%減の551億円、当期純利益は同65%減の379億円とそれぞれ減益となったが、これは前年同期に、年金制度変更に伴う一時益798億円を営業外収益として計上したためとしている。
セグメント別では、アプライアンスと住宅市場における前期末の駆け込み需要に伴う受注残を取り込んだ「エコソリューションズ」が、増収増益を記録。なかでもアプライアンスは、課題事業であるエアコンが、基本性能を強化した新製品の投入と販売強化策によって中国市場における販売が回復したほか、テレビ事業の営業利益が前年同期の13億円の損失から10億円の黒字化を達成。課題事業収益改善が大きく寄与し、アプライアンス全体では営業利益で同2倍となる225億円となった。
パナソニック代表取締役専務の河井英明氏は「テレビ事業における第1四半期は、計画に対してプラスで推移しており、黒字化を達成した。かなり改善してきており、年間で見てもほぼ黒字化が見えている状況」と自信を見せる。
一方、AVCネットワークス、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)は、売上高は増収となったものの、営業利益はAVCネットワークスが81億円の損失、AISが同18%減の235億円と伸び悩んだ。
ただし、液晶パネル事業の赤字は同65億円から50億円へと縮小されてきており「計画を若干だが上回っている状況。進捗については第1四半期はまずまず。相当改善していかなければいけない部分なので、これからの取り組みにかかっている」(河井氏)と現状を話した。
同日発表された有機ELディスプレイパネルに関する統合新会社について質問が及ぶと「技術を結集しながら有機ELの技術を進化させていければと思っている。有機ELパネルを供給していただくこともありえる」とコメントした。
また米テスラモーターズとの電池工場建設における合意については「日米ともに大きな関心のある分野だと思われるため、両社でやっていく意思を早く示したほうがよいと思い、本日発表した。具体的な金額や時期についてはもう少し検討を続けていく」と詳細は明らかにしなかった。
エアコン、テレビなど課題事業に対する構造改革効果が出始めてきた第1四半期。もう1つの課題事業と位置付けられていたデジタルカメラに関しては「第1四半期で見ると売上高は前年に比べ若干未達。ただし改善してきており、年間で見ると黒字化は確保できると見ている。コンパクトデジタルカメラはかなり数を絞り込み上級機種にシフトする商品ラインアップとしたが、高い評価をいただいている。デジタルカメラはしっかり改善している状況」(河井氏)と話した。
パナソニックでは、2015年3月期通期の連結業績を、売上高で前年比0.2%増の7兆7500億円、営業利益を同1.6%増の3100億円、税引前利益を同41.8%減の1200億円、当期純利益を同16.2%増の1400億円とし、前回予想数値を据え置いた。CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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