パナソニックは4月28日、2014年度3月期の通期(2013年4月~2014年3月)決算を発表した。住宅、車載事業の伸長と赤字事業の改善などにより、売上高は前年比6%増の7兆7365億円、営業利益は同90%増の3051億円とともに増収増益となった。税引前利益は、3984億円の損失から2062億円、当期純利益は7543億円の損失から1204億円へと共に黒字化した。純利益の黒字化は3期ぶりだ。
決算会見に登壇したパナソニックの代表取締役社長である津賀一宏氏は「3月27日に2014年度の事業方針を発表した。その中でパナソニックは普通の会社に戻り、もう一度成長軌道に乗せるというお話をさせていただいたが、順調に新しい年度のスタートができている」と中期計画が進んでいると話した。
増収増益となった2014年3月期通期だが、売上高に大きく寄与したのは、消費税増税前の需要増となった住宅関連、グローバルで市況回復を果たした車載関連事業だ。一方営業利益では、赤字事業の収益改善や固定費削減、材料合理化といった取り組みが増益へと導いた。
パナソニック代表取締役専務の河井英明氏は「固定費の圧縮、価格低下を上回る材料の合理化に加え、為替のプラス影響が増益の主な要因。セグメント別では、住宅関連を持つエコソリューションズが増益を牽引した」と内訳を説明した。
一方、減益となったのはアプライアンス部門。売上高は前年比10%増の1兆1966億円となったが、営業利益は22%減の285億円となった。円安による収支の悪化をカバーしきれなかったことが要因としている。
また、プラズマディスプレイの事業終息の影響から売上高が同3%減の1兆5734億円に落ち込んだAVCネットワークスは、営業利益が2.5倍の215億円に伸長した。BtoB事業の増販に伴う利益増に加え、事業構造改革の効果が出てきた結果としている。
エコソリューションズ同様、売上高9%増の2兆7376億円、営業利益は同2.9倍の857億円となったオートモーティブ&インダストリアルシステムズは、車載関連事業の販売増と円安効果により、好調に推移した。
パナソニックでは、中期計画で赤字事業の構造改革を2年で完遂するほか、2018年に10兆円規模の売上を目指すことを掲げている。今期好調に推移した車載、住宅関連事業はともに2兆円規模の事業へと育てる計画だ。
2014年3月期通期の業績を受け津田氏は「住宅と車載関係は、2013年度に売上を伸ばすことができた。実際に2兆円に向けたハードルは確実に下がっている。中期計画の1年目として滑り出しは想定以上だ」と2013年度を振り返った。
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