2010~2012年の前半までに一度起業ブームが起こったのですが、2012年の後半にそれが収まり、最近になってもう一度盛り上がり始めました。そうした市場に起こる波の背景には、地場財閥やエンジェル投資家の存在があります。2010~2012年の前半というのは財閥や投資家が規模は数百万円~1000万円程度と小さいもののシード投資をこぞって開始した時期でした。しかし2012年の後半になると、財閥がすぐには儲からないということに気づき始め、それまでに出資を受けていた企業の8~9割が次の調達にこぎつけずリビングデッドのような状態に陥り始めました。
はい。つまり今起業しているのは、成功するのは難しいということが分かった上で起業している、より「骨太」な起業家たち。彼らが成長を信じ奮闘し、また資金を調達する姿を見て、他の起業家たちがそれに続く。日本も同じだったと思いますが、そういうことを繰り返してこの国のスタートアップ市場は成長しています。
資金需要のニーズは一定程度あります。それ以上に我々が見られているのは、インドネシアの起業家に不足しているビジネスデベロップメントのノウハウです。数あるVCの中で弊社は、サイバーエージェントグループとしての日本や中国、米国などでの経験、次の資金調達につながるグローバルネットワークが強みとなっています。
日本での経験はリセットし、ゼロベースで思考すること。私は日本でサイバーエージェントの子会社の立ち上げを2回経験しましたが、そこで体得したケーススタディ通りに物事は進まない。「日本ではこうだったからうまくいく」と思考停止してはいけません。また、インドネシア人の性格の傾向として、ややレイジー(働くことを嫌う)なところがあります。それにフィットした人事制度を設計することが求められます。
インドネシアはインターネット回線のスピードが遅いとよく言われます。しかしそのことを強く課題に感じているのは特に日本人を含めた外国人で、彼らはサイトアクセスまでに10分待ってでも使います。彼らの感覚で物事を捉えることは大切でしょう。また、クレジットカードが普及していないため、インターネット上でユーザーに決済をしてもらうためにはオンラインバンキングを通じての振込など、他の手段を設けなければなりません。このような状況ですから、インターネット上でモノを買うのはアーリーアダプター層のみ。これが今後どのような時系列で変化していくかは事業を行う上で注視すべきでしょう。
2014年の年末にはAndroid OS搭載のスマートフォンの普及台数が5000万台に達すると言われています。そうなればインターネットユーザーの半数以上がスマートフォンを利用することになりますから、インターネットでの決済の裾野は大きく広がると見ています。
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