Appleは薄型軽量のノートブック型Mac、MacBook Airに続いて、オールインワン型デスクトップのiMacにも、より低価格なモデルを投入した。Appleからレビュー用に借り受け、5日間に渡って試した。
今回追加されたのは、税別で10万8800円という価格のモデル。この価格で、これまでと同様にアルミとガラスだけのシンプルかつ非常に薄いボディで、21.5インチのフルHD解像度を備える。自宅で使うには十分にゴージャスなディスプレイ、USBポート、Thunderboltポート、イーサネット、Wi-Fiといったインターフェース類も搭載し、十分にお買い得な内容と言える。
今回の廉価版では、CPUとグラフィックスのデチューンが行われ、メモリの拡張性が省かれている。ただメモリに関しては、はじめから8Gバイトを搭載しており、500GバイトのHDDを搭載するストレージについては、1TバイトのFusion Driveや256Gバイトフラッシュストレージなどに変更ができる。
引き続き販売されるモデルは、より強力なプロセッサとグラフィックス、CPUやメモリなどをBTOオプションでカスタマイズができることを考えると、ここが既存モデルとの差別化要因となる。
すぐに使える低価格のMacを比較する場合、MacBook Air 11インチモデルと今回登場したiMac 21.5インチモデルが対象となるだろう。
この2つのマシンの差は、メモリ、ディスプレイ、ストレージ、そして持ち運べるか否かという4点に絞られる。その他のスペックとして語られるCPUやグラフィックスは数字の上では同じであり、拡張性もポート数でiMacが上回る程度、いずれも光学式ドライブは搭載していない点など、共通点は多い。
結論から言ってしまうと、MacBook Airのレビューで触れた内容のうち、持ち運びの楽さとバッテリ持続時間以外のマシンパフォーマンスに関わる内容を比較し、大きく異なるということはなかった。一言で言うなら、十分すぎるほど快適ということだ。
MacBook Airのレビューと同様に、5日間に渡って普段筆者が行っている作業を試した。ウェブ閲覧、文書作成、簡単なゲーム、ビデオ再生、Keynoteによる大量の動画や写真を含む100枚規模のスライド編集、iMovieによるビデオ編集などを、広い画面で快適にこなすことができた。
ただ1点、ビデオ編集を長く続けていると、だんだんビデオの読み込みのところで、筆者が普段使っている2年前のMacBook Pro Retinaディスプレイモデルや最新のMacBook Airなどフラッシュストレージでは体験しなかったわずかな引っかかりが生じていた。
これを解決するには、低価格のiMacで唯一選べるオプションであるストレージを、高速なフラッシュディスクと大容量で安価なハードディスクの“いいとこ取り”をしているFusion Driveにするとよいのではないだろうか。個人的におすすめしたいオプションだ。
デスクトップ型よりもノート型へとPCスタイルの中心がシフトしており、そのトレンドで大きく躍進したメーカーはApple自身だ。その中で、価格を安く抑えたiMacはどのような位置づけで、誰が買うのだろうか。
筆者が以前レビューしたMacBook Air 11インチは、今回の新iMacと性能がほぼ同じで税別価格は8万8800円。Core i5 1.4GHzのCPUを搭載したiMac 21.5インチモデルは税別10万8800円と、2万円の開きがある。iMacにはメモリがあらかじめ8Gバイト搭載されており、速度は違うが500GバイトのHDDを内蔵していることを考えると、2万円の開きをほぼ埋められているように思える。
つまり、11インチのディスプレイでどこへでも持ち運べるMacBook Airと、21.5インチのフルHDディスプレイを搭載し、自宅でのみ利用するiMacという選択になる。
モバイルシフトの流れから言えば、MacBook Airを選ぶべきという意見もある。事実、ビジネスやクリエイティブの分野で、iPhoneやiPadではやりきれなかった作業を、Macに任せる場合、外出先や移動中にスマートフォンやタブレットの可搬性をそのまま引き継げるのはMacBook Airだろう。メインマシンとしての素質も十分にある。
一方で、もし自宅で大きな画面で使いたい場合、外付けディスプレイを購入する手もあるが、すると前述の通り、価格差と実用スペックでほぼ釣り合っているMacBook AirとiMacを比較すると、MacBook Airにはディスプレイ分の追加投資が必要になる。
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