普段住んでいる米国カリフォルニア州バークレーから東京へ出張した際、AppleからMacBook Air 11インチの最も低価格なモデルを借りて過ごしたレポートの第2回目(1回目はこちらから)。今回はMacBook Airの環境移行を済ませて、早速実際に取材などで仕事に出かけた話をお届けする。
これまで使用していたMacBook Proから重さ半分程度のMacBook Airにすると機動力はどう変わるのか。取材や講演などで都内を回った際の使い勝手や感想について、紹介したい。
なお、筆者の普段の環境は、MacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデル(MID 2012)だ。スペックはCore i7 2.6HGz(Sandy Bridge)、8Gバイトのメインメモリ、512Gバイトフラッシュストレージ、そしてグラフィックスはIntel HD Graphics 4000とNVIDIA GeForce GT 650Mを搭載している。重さは2.56kg。
比較したMacBook Airのスペックは、Core i5 1.4GHz(Haswell Refresh)、4Gバイトのメインメモリ、128Gバイトのフラッシュストレージ、グラフィックスはIntel HD Graphics 5000を搭載している。重さは1.08kg。
筆者は、現在のMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデルを使う以前からも、Appleのノートブック型コンピュータを使ってきた。その中でも、自宅にメインマシンを持たないという前提で機器を選定してきたことから、持ち運べる範囲でディスプレイサイズはできるだけ大きいものを選ぶようにしていた。
はじめは2001年に12インチのiBookを使い始め、その後15インチでチタンボディのPowerBook G4、MacBook(黒)、MacBook Air(初代、13インチ)、MacBook Pro 15インチ(2010年)と使ってきた。上記のコンセプトでいえば、現在使っていたMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイは、画面サイズが15インチでかつ重さが2kg前後と最も軽いバランスのマシンであった。
しかしカバンを選ぼうとすると、15インチの筐体が収まるカバンを選ばざるを得ない。どうしてもビジネスバックになったり、大型のトートバックになったりしてしまい、カバンを小さく軽くすることは難しかった。
そこで9.7インチのiPad、そして2012年に登場し2013年にRetinaディスプレイ化された7.8インチのiPad miniを活用して、Macを持ち歩く日とiPadを持ち歩く日を分けることにした。その日の移動距離や出先で必要な作業量によって持ち出すデバイスを選び、それによってカバンも極力軽くなるようにしたのだ。
そうしたカバン選びの悩みもMacBook Air 11インチモデルにすることで、かなり軽減されるはずだ。というのも、これまでiPad miniを持ち歩く際に使っていたカバンにもすんなりと収まり、重さは増すがカバンがかさばることはなかったからだ。
特に東京は徒歩での移動が多くなるため、カバンが小さく軽く、それでいてきちんとしたMacの環境を持ち歩けるMacBook Air 11インチは非常に快適だった。もっと長く歩いていられる、という印象だった。
MacBook Airは1世代前のHaswellを搭載するまで、その魅力は薄さと軽さ、そして価格が安いノート型Macということだった。11インチよりも13インチモデルの方が大きなバッテリを搭載することから、バッテリ持続時間が長いMacBook Airが欲しければ、13インチモデルにする、という選び方が存在していた。
しかしHaswell以降、11インチモデルもカタログ値で9時間のバッテリライフへと伸び、旧13インチモデルの7時間よりも長くなった。もちろん、新しい13インチモデルは12時間と更に長くなったが、9時間持てば十分、と思われる人も少なくないだろう。11インチモデルでも、コンパクトさとバッテリライフを十分に両立する1台になった。
実際のところはどうだろう。開封したばかりという好条件で、ディスプレイは30%ほどの明るさにし(これ以上暗くすると使いにくい)、Evernoteでの取材メモの入力やテキストエディタでの原稿執筆、Keynoteでのスライド作り、メール、Facebookなどのソーシャルメディアのチェックといった普段よくする作業を外出先で2日間こなした。
この条件では、使い始めで14時間、80%ほどの残量でも10時間という表示が出て、カタログ値以上の持続時間予測をたたき出し、ほとんどその通りに減っていくので驚かされた。もちろん、Keynoteで複雑なアニメーションを何度も再生したり、ビデオの再生や編集を行ったりするとより減りが早くなっていくが、現在使っている2012年モデルのMacBook Proは実際に5時間程度が限界であることを考えると、倍以上長く外出先での作業ができることになる。ちなみにMacBook Pro Retinaディスプレイモデルのカタログ値は7時間だ。
このことは、実際に外出先での行動の変化にもつながる。
MacBook Proで仕事をしている際には、特に午後から夕方にかけて、どこかにピットインしなければならなかった。つまり、電源が利用できるカフェや仕事場で充電しながら作業をする時間を設けなければならない。最近東京でも電源が利用できるカフェが増えてきたが、午後以降の時間帯はそうした席の人気も高く、確保できない場合には作業を進めにくい。
しかしMacBook Airでの2日間は、いずれも、午後の時間帯でも50%以上電源が残っている状態だったため、電源の有無にかかわらずカフェに座って作業を進めることができた。
もちろん、これまでにも電源の減りに合わせて行動をプランするなどの工夫をしていて、それに慣れてくれば不快ではなくなってくるが、MacBook Airではより自由に動くことができるようになった。ちょっとした変化かもしれないが、スケジューリングや行動範囲など、「移動」への影響がだんだん大きくなっていくと考えられる。それは、重たくバッテリライフが短いノートパソコンに合わせた行動パターンになったのと、逆のことが起きると予測できるからだ。
軽さ、バッテリライフの長さが大きなメリットとして体験することができた新型MacBook Air 11インチ。MacBook Pro Retinaディスプレイモデルだけを入れ替えて、他のアクセサリ類をそのまま持ち歩き、全てが快適に利用できる──と思っていた矢先、出先で1つ困ったことが起きた。それはSDカードの読み込みだ。
MacBook Proにも、MacBook Air 13インチモデルにも、SDXCカードスロットが搭載されており、デジタルカメラのSDカードをそのまま差し込んでiPhotoに取り込める。しかし11インチモデルのMacBook Airには、スペースの関係からかSDカードスロットは搭載されていない。
そのため、取材で撮影したデジタルカメラの画像を外出先で取り込むことができなかった。一応、マイクロUSBのケーブルなども持っていたが、手持ちのオリンパスのミラーレス一眼E-PL3は特殊なコネクタであるため、手持ちのケーブルは使えなかったのだ。
11インチモデルを使う場合は、専用ケーブルか、USBに差し込むSDカードリーダを用意しなければならない。それでも13インチモデルよりも小さく軽いというメリットはあるため、なかなか悩ましいところだ。
次回はキーボードやパフォーマンスについてお伝えする。
新MacBook Airレビュー(1)--クラウド時代のPC移行、新たなMacへの乗り換え方CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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