ワイヤレスゲートは7月1日、公衆無線LANサービスとLTEネットワークが、月額480円から利用できるデータ通信サービス「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」を提供すると発表した。9月1日より全国のヨドバシカメラと通販サイトのヨドバシドットコムで販売する。
同日開催された記者発表会で、ワイヤレスゲート代表取締役 兼 創業者である池田武弘氏は、新サービスの提供にいたる経緯について説明した。同社は公衆無線LANやWiMAXなど、他社の無線通信インフラを借りて1つのパッケージとして提供するプラットフォーム事業を展開しており、主としてモバイルでデータ通信をヘビーに利用するユーザーをターゲットにサービスを提供。2014年も8万の純増を見込むなど成長を遂げている。
しかし、一層の成長を実現するためには、新しい領域への事業展開が必要と判断。そこで“第2の創業”として、NTTドコモから回線を借りLTEによる通信サービスを提供することを決めたという。これを用いて個人向けのSIM関連サービスと、M2MやIoT関連のソリューション事業を展開していきたいとしている。後者は改めて発表の場を設ける予定で、今回は前者の個人向け新サービスを発表した形だ。
池田氏は新サービスで狙う事業領域について、「個人ではLINEやSkypeなどを利用する人が増えていることから、音声通話はいずれデータ通信に収容されると考えている」と話し、音声通話サービスは提供せずデータ通信に絞るとしている。一方でデータ通信の領域に関しては、従来のヘビーユーザーだけでなくライトユーザーもターゲットとするなど、幅広い層を対象とする方針を明らかにした。また、今後は東京五輪の開催を見込んで訪日外国人向けのサービスも検討するとしている。
そうした方針の元で開発されたのが、公衆無線LANとLTE通信をセットにした「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」だ。池田氏によると、このサービスの大きな特徴は「Wi-Fiが主でLTEが従と、発想が逆転していること」だという。同社が提供している複数の公衆無線LANスポットを束ねて提供し、4万カ所以上でWi-Fiを使える「ワイヤレスゲートWi-Fi」や、イネーブラー事業として設置しているWi-Fiスポットなどが利用できることから、普段の接続はWi-Fiで利用することを前提としたサービスとなっている。
一方でLTEは、移動中などWi-Fiが使えない際に、その補完として利用することを前提としているようだ。それゆえ最も価格の安い月額480円のプランでは、LTEの下り通信速度が250Kbpsに制限されている。ただし「緊急的に高速でLTEを使いたいニーズもある。それができないのは不便」と池田氏は話し、540円で200Mバイト分、下り最大150Mbpsの高速通信ができるチャージ機能も提供するとした。また同社がその月のLTEの利用量が少ないと判断した場合は、1回分のチャージをプレゼントする仕組みも用意するとしている。
なお、「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」には、月額480円のプランのほか、最初から1Gバイト、5Gバイト、10Gバイト分の高速通信チャージが含まれた3つのプランが用意されており、それぞれ920円、2480円、5490円で提供されるという。なお契約の際には、別途3000円の事務手数料がかかるとのことだ。
最近ではMVNOのSIMカードと、SIMフリーのスマートフォンをセットにして販売する、いわゆる“格安スマホ”が注目を集めている。この点について、ワイヤレスマーケティング・ラボ代表取締役の原田実氏は、「SIMフリーの端末には多種多様なものがある。(販売パートナーとなる)ヨドバシカメラでは多様なSIMフリー商品を扱うと聞いているので、我々はネットワークに集中し、利便性の高いサービスを提供していきたい」と話す。ワイヤレスゲートではあくまでSIMカードのみを提供し、格安スマホとしての提供は販売店側に任せる形をとるようだ。
なお池田氏によると、同社では今回のサービス提供に合わせてWi-Fiに関する取り組みを強化するため、全世界で1300万ものWi-Fiスポットを持つスペインのFonとの資本・業務提携を検討しているとのこと。これにより、Fonのエリア拡大や新サービスの開拓などを検討していくとしている。
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