徳力氏 佐々木さんから、農家の方もタブレットでITが身近になったというお話がありましたが、現場ではいかがでしょうか。
大込氏 先ほど申し上げた「スマートファーマーズサポート」は、すべてデータが手入力です。しかし、日本の農業の平均年齢は65歳で、パソコンに向かって作業するということがありません。機械から出てくる情報が自動的にパソコンに入力される仕組みが重要になります。
佐々木氏 農家の方のほとんどはいわゆるガラケーのユーザーで、しかも携帯電話を電話としてしか使っていません。スマートフォンをもっているのは若い人だけです。
現在、農家では意欲を持って取り組んでいる人と、従来の手法を活用している方の2つに大きく分かれます。前者はスマホ持ってデータを扱うことで何らかのアクションをしたい、データを見ることで根拠のある農業をしたいという人です。ただ、現状では数は少ないですね。そこにIT事業者から見た農業と、農業から見たIT事業者に温度差があると思います。
大畑氏 高齢者がITを使うことは不可能ではないと思います。事例もありますし、お年を召した方でもスマホやタブレットは使い始めると意外に活用できると感じています。熊本では52の農家に導入いただいていますが、講習会を開いたときに、ドコモショップから「スマホを欲しいという農家の方が次々にやってくる。何かしたのか」と質問が来たことがあるくらいです。最近のものは子供でも使えますので、使い始めてしまえば意外にハードルは低いのかも知れません。
徳力氏 こういう取り組みが増えていくためには何が必要でしょうか?
大畑氏 供給側の農業に対する理解が十分ではないし、逆もまたあると思います。農業におけるIT化はまだ始まったばかりで、農機でのIT活用はいろいろな取り組みがたくさん出てくると思います。長い道のりの第一歩という理解が必要でしょう。
徳力氏 現状はの問題点として羅列していくと、現場の方々のITリテラシーがあります。ただこれは、実は食わず嫌いな面があるようです。ちゃんと学べるきっかけを提供すれば壁を超えられるかも知れません。ただ、本当の現場レベルになるとIT機器自体が向いてない環境がたくさんあって、このあたりは技術の進歩が必要ということですね。
佐々木氏 ハウスはIT業界から見ると、コントロールしやすい環境です。外では、天候の影響も受けるし、せっかく制御しても雨が降ったり台風が来たら終わりです。IT業界がなぜここに参加するかは、儲かる農業をどう作るか。担い手不足の話もありましたが、IT業界と比較して農業の方が儲かるとなれば、風が少し変わる可能性もあると思います。
ではIT業界は何をしなければいけないか、どこに貢献できるのかを考えると、まずは施設栽培です。そこでNECの方策のひとつとして、作物に水をやる灌水(かんすい)と肥料を出す(施肥)を自動的にすることで収量を上げようという取り組みがあるのです。
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