スペースシャトルにミッションスペシャリストとして搭乗した経験を持っており、ソーシャルメディア界で一躍スターになったChris Hadfield氏はSpaceXの「Dragon」宇宙船を称賛している。
SpaceXの最高経営責任者(CEO)であるElon Musk氏は、Howard Hughes氏と並び称せられる、エンジニアリングとビジネスに長けた天才であり、ロケット科学者たちが1960年代初頭のマーキュリー計画以来取り組んできたことをSpaceXで達成した。ただ、米国時間5月29日にMusk氏が公開した新しい「Dragon V2」有人宇宙船によって、米航空宇宙局(NASA)がロシアに頼らなくても済むようになると考えている人は、まったく見当違いをしていると言える。
この意見の持ち主は、スペースシャトルに2度にわたって搭乗した経験を持ち、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)において戦闘機隊の任務に就いていたこともあり、国際宇宙ステーション(ISS)で5カ月を過ごした後、ISSから地球を眺めながらDavid Bowie氏の「Space Oddity」を熱唱して世界的なセンセーションを巻き起こしたChris Hadfield氏その人の意見である。
Hadfield氏がMusk氏の大ファンであるのは間違いない。5月30日のインタビューでHadfield氏は、Tesla MotorsのCEOでもあるMusk氏の類いまれなる才能を何度も褒めちぎっていた。また、SpaceXが12年間にわたって複数回実施したISSへの無人飛行や、新しいDragon有人宇宙船の設計コンセプトにも感銘を受けたという。ただその一方で、Dragon宇宙船がどういった成果をもたらそうと、NASAとロシアの結びつきは強力なものであり、その関係は今後も続いていくという点を明確にしておきたいのだという。
また同氏は、新しいDragon宇宙船を操縦してみたいとも述べている。とは言うものの、同氏は他の宇宙船に対しても行ってきたように、まずその安全性を確認するために内部をじっくりと時間をかけて吟味したいのだという。
−−「Dragon V2」をどのように評価しますか?テクノロジの観点から、そして新たな宇宙船という観点から見て、どれほど素晴らしいものなのでしょうか?
Elon Musk氏とSpaceXの成果には本当に目を見張るものがあります。彼らはたった12年で、他のほとんどの国がなし得なかったことを達成したのです。つまり、地球の衛星軌道上に大質量のペイロードを投入できるロケットを開発し、ISSまで航行して自力でドッキングした後、ドッキングを解除して地球へと帰還できる宇宙船を作り上げたのです。
昨日(5月29日)われわれが目にした宇宙船によって、その具体的な形状が明らかになりました。これは本当に重要な点です。ここにすべてが集約されているのです。まず、7人の宇宙飛行士が搭乗できる可能性が見て取れます。また、航空電子工学にのっとったディスプレイがどのようなものになるのかという可能性も示されています。もちろん、照明をはじめとして、居住性やクルーの安全性といったものを生み出すうえでのさまざまな統合や複雑さといった重要な側面はすべて欠けていますし、昨日の段階で取り組まれていないエンジニアリング上のさまざまな疑問もあります。しかし、どこかから手を付けなければならないのです。彼らはこれまでの10~12年で本当に感嘆すべき実績をあげてきていますし、本当に能力のある人々が集まっています。
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