カリフォルニア州ホーソーン--数年にわたる開発を経て、SpaceXが米国時間5月29日、有人宇宙船「Dragon V2」を初公開した。同社は将来、この宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運ぶようになると期待している。
この宇宙船は有人宇宙船として同社が初めて設計したもの。SpaceXの創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるElon Musk氏が、南カリフォルニアにある同社のロケット工場で開催されたイベントで披露した。同社の無人宇宙船「Dragon」は2012年から3回にわたり、ISSに装置や物資を運ぶ補給ミッションを実施しているが、Dragon V2はこれと似た設計になっている。Dragon V2は、7人の飛行士を乗せて地球低軌道を飛行することを意図している。
Musk氏は実機を披露するカウントダウンに入る前に、Dragon V2が「地球上のどこにでもヘリコプター並みの精度で着陸」するように設計されていると述べた。また、ISSから切り離された同宇宙船が地球に帰還し、逆噴射によって地上に正確に着陸する様子を描いたアニメーション映像も披露された。Dragon V2は、ISSと自動ドッキングできるほか、宇宙ステーションのアームの力を借りずにドッキングすることができる。現行モデルでは、ドッキングの際にこのアームが必要だ。
Musk氏がプレゼンテーションでアピールしたDragon V2の特徴の1つが、着陸後すぐに再利用できるという点だ。同宇宙船は整備を必要とするまで最大10回は使用できるという。同氏は、逆噴射を使って軟着陸した後は、推進剤を最充填すれば再び打ち上げが可能だとしている。
Musk氏は「ロケットや宇宙船の使い捨てを続ける限り、われわれは本格的に宇宙に行くことはできない」と述べ、そうした現状をフライトが終わるたびに旅客機を使い捨てることになぞらえ、「それは、とてつもなくお金のかかることだ」と話した。
Musk氏によると、従来のモデルにはまだパラシュートが装備されているが、Dragon V2では、着陸前にエンジンや推進装置の異常を検出した場合にだけ開くという。また万が一、エンジン2基に不具合が発生しても安全に着陸できると、Musk氏は述べた。
これらのエンジンは「SuperDraco」と呼ばれ、Dragonの現行モデルに搭載の「Draco」エンジンと比べ、160倍以上となる1万6400フィート重量ポンドの推進力を持つ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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