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家庭用ロボットの時代は来るのか?--iRobotのC・アングルCEOに聞く - (page 3)

Steve Ranger (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2014年04月29日 07時30分
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ロボット:Next Big Thing

 Googleは過去数カ月間でBoston Dynamics(荒れ地でも重い荷物を運搬できるロボット「Big Dog」を開発している)やMeka Robotics、Redwood Roboticsといった世界最大級のロボット工学企業を買収してきており、これらすべての取り組みはAndy Rubin氏によって率いられているGoogleのロボット戦略の一環となっている。ちなみに同氏は「Android」の生みの親でもある(まさにうってつけの人物と言えるだろう)。また、無人運転車に向けたGoogleの取り組みも運送分野におけるパズルを埋めるピースとなるだろう。運転手の乗っていないトラックの一団を想像してほしい。

 同様に、Amazonは2012年に倉庫管理の自動化企業Kiva Systemsを買収した。また同社は、「Amazon Prime Air」という、配達に無人飛行機を使用する計画を発表している。

 これら大手IT企業がロボットに魅せられている理由はいくつかある。1つの大きな要因は、とにかくロボットによる運用の効率化だ--先ほどの例では、倉庫における商品の取り出しから、低コストの配達に至るまでの作業の自動化である。これらは、長年にわたってロボットが使用されている、3Kと呼ばれる仕事の新たな発展形だ。より迅速に商品を取り出せ、出荷できるのであれば、それがどういったものであっても、Eコマース企業は競合相手に1歩先んじるためのコスト削減を実現できるのだ。

 しかし、こういった大手IT企業は、ロボットが物理世界とデジタル世界の橋渡しをするという、より深いレベルに興味を示している。ロボットに搭載されたセンサによって、ユーザーのウェブ閲覧履歴やスマートフォンのデータ以上の情報を把握できるのだ。このため、スマートフォン市場が飽和状態に近づくにしたがい、大手IT企業が実世界の情報を可能な限り集めるうえで注力する次なるステップとして、当然のようにロボットが出てくるわけである。

 家庭内のロボットとセンサという話をすると、われわれのインターネットについて語っているようであるが、センサとロボット工学、より賢いアルゴリズムという組み合わせはすべて、モノのインターネット(IoT)の構成要素となる。例を挙げると、研究者らは既に、電力消費や二酸化炭素レベル、湿度といったセンサからの割と基本的なデータでどれだけのことが類推できるのかを示している。

 大手IT企業の大多数は、エンターテインメントやセンサ、ロボットを通じてかどうかにかかわらず、家庭との接続のためのゲートウェイを提供したいと考えている。例えば、Microsoftは「Xbox One」を用いたエンターテインメントを通じてこの戦略を推し進めており、GoogleはNestの買収によってセンサを用いた魅力的な未来を垣間見せている。Angle氏は、どの企業が家庭へのソフトウェアゲートウェイを勝ち取るのかという点については気にしておらず、「戦わせてみたらいい」と述べているものの、iRobotのデバイスがその勝者になり、家庭内での物理的存在感を獲得してほしいと願っており、料理ロボットや掃除ロボット、監視ロボット、管理ロボットといった「ロボットの楽園」が生み出されるのを夢見ている。

 こういったロボットは人間型にはならない。その必要はないのだ。洗濯機や食洗機はいずれももともとは人間がやっていた作業をこなすものだが、どちらも腕や足を備えているわけではない。しかしAngle氏は、もうすぐアンドロイドの姿形をしたロボットが家庭に登場すると考えている。同氏は「ユーザーとの対話に重点を置き、このような作業すべてを取り仕切るようなロボットができるだろう。これはヒューマンインターフェースロボット、すなわち執事ロボットだ」と語っている。

 この目標に向けた最初の1歩としてiRobotの最新モデル「Ava 500」が挙げられる。これは同社のロボットでは唯一、ほんのわずかだが人間に似ているところもあるロボットだ。支柱の上に大きなディスプレイが載ったかたちをしているAva 500は、あなたの机があるところまでやってきたり、自らで会議室に行けるようにプログラムできる、動き回るビデオ会議ロボットである。このため、あなたが会議をサボろうとした場合、オフィスを滑走してあなたの席まで探しにくる(「ドクター・フー」に登場するダレクと同様、階段の上り下りはできない)。

 このロボットは現在、法人向けとして販売されているものの、Angle氏はこうした展開を、最終的に家庭に進出するための性能試験だと捉えている。つまり、その場にいない相手の物理的な存在感をよりリアルに作り出すという目的があるわけだ。座っていることを表現するためにディスプレイの位置を下げたり、会議で特定の人の方を向いたりできるようになっているのも、リアルさをもたらすためなのだ。

 ロボットを通じて誰か(ディスプレイに表示されているが、その場にいない人)と対話するというのは、当惑するエクスペリエンスだと言える。ロボットによって物理的な存在感が与えられ、しかも滑走して動き回るというのは、ノートPCに固定されたウェブカメラを通じたやり取りとは決定的に違っているのである。このため、われわれの言葉遣いも緊張感を帯びたものになり、会話の基本的なあり方も変化する。例えば、海を越えたボストン本社にいるiRobotの取締役に「ここの雰囲気について、あなたはどう思いますか?」と尋ねることになる。その取締役が「ここ」にいるわけでもなく、「あなた」と語りかけているもの自体はその取締役本人でもないのにだ。

 Angle氏は、(おそらく10年後くらいに登場するであろう)家庭内で他のロボットを管理するロボットや、医者が遠隔地から診察するために制御できるロボット、友人や家族の「来訪」を可能にするロボットといった汎用目的の伴侶を念頭に置いている。

 未来のビジョンはこれだけではなく、多くの人々はロボットを家庭で使用することに乗り気ではないかもしれず、例えば「Siri」のようなものを壁の中に埋め込むなど、何らかの知性を建物内に組み込みたいと考えている可能性がある。しかしAngle氏は、少なくともロボットであればドアの外に閉め出せるという点で、何でも知っているスマートハウスよりも物理的なロボットの方がプライバシーを守る機会が与えられると主張している。

 とは言うものの、家庭用ロボットの夜明けが訪れようとしていると皆が思っているわけではない。ミドルセックス大学でロボット工学の教授を務めるMartin Smith氏によると、ロボットが掃除のみならず、さまざまな用途で利用されるようになるのはまだずっと先の話だという。同氏は「床掃除ロボットの仕事は、ロボットにできる最も簡単なものだ。ロボットにより複雑な仕事をさせようとすると、にっちもさっちも行かなくなる。シャツのアイロンがけは恐ろしいほど難しいし、何らかの設備がないと階段の上り下りすら難しいだろう」と述べている。

 同氏はまた「人々は自分が生きているうちに、有益かつ、手に入りやすい価格のヒト型ロボットが作り出されるというロマンチックな考えを抱いている。しかし、私はそういったことが起こるとは考えていない」とも付け加えている。

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