グーグルは4月24日、地図サービス「Google マップ」のストリートビューにおいて、過去に撮影された町並みや風景を、時間をさかのぼって見られる「タイムマシン」機能を世界で同時に公開した。同日より順次適用していくという。まずはPC版から提供し、今後はモバイル版の提供も検討する。
2007年にサービスを開始したストリートビューは、現在50数カ国で提供されているという。タイムマシン機能を利用するには、Google マップで閲覧したい場所のストリートビューを表示し、画面の左上部にある小さな時計のアイコンをクリック。スライダーで見たい時期を指定する。
この機能によって、日本では2008年から撮影された各地の季節ごとの景色を楽しんだり、新しい建物が作られていく様子を振り返ったりできる。写真を撮影するストリートビューカーが通過した回数が多い地域ほどさかのぼれる時間も増えるが、グーグル グループプロダクトマネージャの河合敬一氏によれば「どの場所でも2回以上はさかのぼれる」そうだ。
タイムマシンは日本からグローバルへと広がった機能だ。グーグル日本法人では、2011年7月からストリートビューによる被災地域のデジタルアーカイブプロジェクトを開始。ストリートビューカーを使って、津波の被害が大きかった東北地方の沿岸地域などを撮影し、同年12月から震災前後の被災地のストリートビュー画像を、東日本大震災のアーカイブサイト「未来へのキオク」で公開している。
この反響は大きかったと河合氏は振り返る。津波によって自宅とともに写真や賞状などの“思い出”も失い、「ストリートビューが震災前の唯一の家の写真になった」という人も少なくなかったためだ。当時は、ボランティアで避難所を回り、ストリートビューに写った被災者の自宅の写真をプリントアウトして配った人もいたという。
これを受けて、グーグル日本法人は米国本社と議論し、タイムマシン機能のグローバル展開を決めたが、「世界で対応させるには全面的な作り替えが必要だった」(河合氏)ことから、開発には約2年の歳月をかけたという。データ量としては従来の倍に相当するそうだ。
なお、タイムマシン機能にちなんで、現在位置を表す人型アイコン「ペグマン」が、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で車型のタイムマシン「デロリアン」を開発した“ドク”ことエメット・ブラウン博士のアイコンに変わっている。数日間は適用されるようなので、同作のファンはぜひこちらも確認してほしい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス