カリフォルニア州サンノゼ発--米国時間4月21日に証言台に立ったある専門家によると、サムスンがAppleの保有している5つの特許すべてを侵害していたとしても、同社の支払うべき1台あたりの特許使用料は、Appleの要求している40ドルではなく、1.75ドルにしかならないという。
サムスン側の依頼を受けて証言したこの専門家は、イェール大学経営大学院の経済と金融の教授であるJudith Chevalier氏だ。同氏の分析によると、サムスンが侵害したとされる特許の妥当な使用料は、デバイス1台あたり、特許1件ごとに35セントになるという。また同氏は、Appleの逸失利益は計上していないとも述べた。同氏の分析と、両社の競合関係についての考慮に基づいて算定された賠償金総額は、およそ3840万ドルになる。サムスンは、特許を侵害しているデバイスを3700万台以上販売したとして訴えられている。
その一方でAppleは、もし両社が交渉によって特許使用料を決めていたとすれば、サムスンはAppleのソフトウェア特許の利用料として1台あたり平均40ドルを支払っていたはずであるため、賠償金総額は21億9100万ドルになるはずだと主張している。この40ドルという特許使用料は、人気ブログFOSS Patentsを運営するFlorian Mueller氏をはじめとする専門家らにより、極めて高額だと見なされている。
Chevalier氏は、同社の5つの特許がサムスンのデバイス需要をけん引する主な要因になったというApple側の専門家らの主張を引き合いに出した。そのうえで同氏は、今回の訴訟対象となっているデバイスのほとんとすべてが、Appleの特許5件すべてを侵害しているという同社の主張にもかかわらず、生み出された利益はさまざまだったという点を指摘した。
Chevalier氏は「これら製品の利益率の違いは、これらの特許とは関係のないところからもたらされたと結論付けざるを得ない」と述べたうえで、「これらの製品で生み出された価値は本当にわずかなものだ」と述べた。
Chevalier氏は証言の冒頭で、Appleの特許すべてが有効であり、サムスンはそれらすべてを侵害したという想定の下で算定作業をしたと述べた。サムスン側の他の専門家たちは、特許の有効性や、侵害があったというAppleの主張に異議を唱えている。
一方でApple側は、Chevalier氏の損害算定手法に反論した。弁護士のBill Lee氏は、Chevalier氏がサムスンによる特許侵害はあったと想定しながらも、Apple側に逸失利益が発生していないとした主張を問題にした。またLee氏は、Chevalier氏が算定に用いた要素の1つである顧客レビューには無意味な情報が含まれている場合がよくあるという点を指摘した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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