新経済サミット2014

「しょうがない」を「しょうがある」へ--ベンチャーキャピタリストが見る日本と世界 - (page 2)

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ベンチャーキャピタリストには起業家がなるべき

 次にモデレータの岩瀬氏は、起業家の育成において大企業が果たすべき役割について3人にコメントを求めた。George Kellerman氏は、「大企業も昔はスタートアップだった」とし、「もともとスタートアップだった大企業が、今のスタートアップをサポートする重要な役割を担っている」と述べた。

500 Startups George Kellerman(ジョージ・ケラマン)氏
500 Startups George Kellerman(ジョージ・ケラマン)氏

 岩瀬氏に、なぜ日本の大企業が技術や人のポテンシャルを発揮できていないのかと問われた田中氏は、「従業員にとって日本の大企業は快適すぎるのだと思う。短期的に大きな違いはないから、劇的なイノベーションは必要としないのではないか」と推測する。「彼らの大きな船はゆっくり沈んでいる」が、ゆっくりであるがゆえに、イノベーションを起こす動機付けがないというわけだ。

 日本にはITスタートアップ企業は少ないが、一方でYahoo!や楽天、DeNA、GREEなど、巨大なテクノロジカンパニーは存在する。米国がそうであったように、日本もテクノロジカンパニーがスタートアップに対して大きな役割を果たしうると同氏は考えている。David Lee氏はこれに対し「ファウンダーは若い起業家を助け、メンター(助言者)のロールモデルになることが重要」と補足した。

 しかしGeorge Kellerman氏は、日本では従業員が大企業と雇用契約を結ぶ際に、他の仕事をしたり、他の企業に手を貸したりしてはいけないという制約が設けられる場合もあると指摘する。米国でスタートアップ企業に助言するような人は、実際にはGoogleやTwitter、Facebookといった企業に勤めている会社員であり、企業自体が従業員にどんどんメンターとして外で活動し、学んでくるよう奨励しているという状況だ。こういった活動にはコストもかからないことから、日本企業もこれに見習うべきだとした。

 続いて、起業を進めるにあたって現金以外にどのようなものが必要か、あるいはスタートアップがハイペースで成長するよう投資家としてどのように支援しているかについて聞いた。

 David Lee氏は、スタートアップの支援には3つの要素があるとし、1つは優秀な人材のリクルーティングと事業開発の手伝い、もう1つはそのスタートアップが次のレベルに行くために何が一番必要であるかを助言すること、そして最後の1つはビジネス全般におけるアドバイスをすることだと語った。特にスタートアップはそれまでに会社経営をしたことのない人が多く、起業家は資金の前にむしろ適切なメンターを必要としていると話した。

 ところが、そのように資金以外の部分も重要とされているにもかかわらず、日本の場合、ベンチャーキャピタリストは元銀行家ばかりであり、「お金以外のものを出せない」と田中氏は問題点を突く。世界の著名なベンチャーキャピタリストはもともと起業家だった例が多いとGeorge Kellerman氏とともに口をそろえ、日本の起業家がベンチャーキャピタリストとして活動する必要性を訴えた。

 来場者からもいくつかの質問が飛んだ。将来有望なベンチャーをどのように探しているのかという質問に対して、George Kellerman氏は「成功するベンチャーをどう探せばいいのかはわからない」としつつも、だからこそ、その一部でも成長すればと多くのベンチャーに投資していると話した。

 田中氏も、すでに10年間にわたって数々のベンチャーに投資してきたが、「これといった方程式はない」と打ち明ける。ただし、大きく成功している起業家のほとんどは強い技術的なバックグラウンドをもっているとし、それを投資判断の重要なキーの1つにしているとした。

 David Lee氏が考える投資判断の基準とは、子供の頃にやっていたこと、考えていたことを体現したPinterestのBen Silbermann(ベン・シルバーマン)氏やTwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏のように、子供の頃に夢中になったものがあるかということと、忍耐強いかどうかだと語った。

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