アップルが大切にしているもの、廉価版iPadの変更--松村太郎のApple一気読み

 3月17日~3月23日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

「Android Wear」
「Android Wear」

 Googleは先週、「Android Wear」と呼ばれるウェアラブルデバイス向けのOSを発表した。同時に、これを搭載するスマートウォッチのプロトタイプも披露し、LGやMotorolaもそれぞれ「G」「Moto 360」というデバイスを用意した。Samsungは2013年からGALAXY Gearを登場させ、2014年は新たにセカンドモデルを発表している。

 こうした専攻する製品が登場した際、それらを「売れるはずがない」と激しく批判した上で、満を持して自社製品を披露する。Steve Jobs氏がいた頃のAppleのお決まりのパターンだ。

 批判するかどうかはとにかくとして、市場が温まってきてからAppleが製品を投入するという法則が今回も繰り返されるとすれば、Appleも腕時計型などのウェアラブルデバイスが何らかの形で出てきてもよさそうだ。そういえば、アップデートがされていないiPodはどうなったのだろう。

 先週のニュースを振り返っていこう。

「Haunted Empire: Apple After Steve Jobs」

 米国では、ウォール・ストリート・ジャーナルの元記者、ケイン・岩谷ゆかり氏が書いたJobs氏以降のAppleについての書籍「Haunted Empire」(亡霊の帝国)というタイトルの書籍がリリースされた。この書籍は、Appleの衰退説を著したものだ。

 普段は企業としても役員としても、こうしたAppleにまつわる非標本への反応を示さないのが、AppleのCEO、Tim Cook氏はこの書籍について「ナンセンスだ」とコメントした。この書籍はAppleとSteve、そしてAppleの誰もが正確に描けていない点を挙げ、衰退論を一蹴している。

 また本書の中では、2011年に発表された人物伝「Steve Jobs」に書かれた内容との相違も見られる。例えばテレビ業界の変革について、Steve Jobsでは取り組みたいと望んでいる示唆があるが、Haunted Empireでは「ひどいビジネスだ」という発言が残っていた。

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廉価版iPadのバトンタッチ

 Appleは先週、iPadのラインアップを変更した。9.7インチサイズのiPadのうち、最も安い価格で販売していたiPad 2を取り下げ、2013年11月にiPad Airを発売してラインアップから消えていた第4世代iPad Retinaディスプレイモデルを、399ドルで販売し始めた。

 廉価版のiPadは企業や教育機関などでの大量導入を行う際に、価格の面で魅力的なラインアップだった。iPad AirのようなA7プロセッサのパワフルさや薄さ・軽さこそ体験できないが、より多く使われる場面があるiPadがA6Xを搭載し、Retinaディスプレイになったことで、iPad体験そのものの底上げにつながるだろう。

 iPadの9.7インチモデルは全てRetinaディスプレイとLightning端子を搭載する製品になった。Retinaディスプレイが搭載されていないiPadは、現在も併売されている初代iPad mini。しかしこちらはすでにLightningを採用している。

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iPhone 5cに8Gバイトモデルが登場も、価格勝負はできず

 Appleは先週、もう一つ、製品ラインアップの手直しをしている。欧州市場で、8Gバイト版のiPhone 5cを発売したことだ。iPhone 5cは世界的に、16Gバイトと32Gバイトの2つのラインアップ、5色展開のポップなカラーのプラスティックボディ、iPhone 5相当のA6チップ、Retinaディスプレイという構成で、iPhone 5sとはデザインも違い、性能も違い、なにより価格も異なっていた。

 英国市場で16Gバイト版を比較すると、iPhone 5sの549ポンドに対してiPhone 5cは469ポンドだった。ここに、8Gバイトが登場し、価格は429ポンドとさらに安くなった。Appleは決してiPhone 5cを廉価版とは呼んでいないが、ユーザーがより安くiPhoneのエコシステムへ参加することができるように取り組んでいる製品だ。その性格をより強めるために、8Gバイトで429ポンドという価格設定を用意したのだろう。

 しかし、Appleが廉価版と呼ばないのは正しい。iPhone 5cには価格競争力はないのだ。

 既にLenovoに買収されたMotorola MobilityのSIMフリーのAndroidスマートフォン「Moto G」は、4.5インチとiPhone 5cより大きなディスプレイとクアッドコアプロセッサ、1日持つバッテリー、Android 4.4に対応済みと、パフォーマンス面でも十分に快適なデバイスだ。Moto Gに付けられたプライスタグは、Amazon UKで、129ポンド。iPhone 5c 8Gバイトよりも300ポンド(およそ5万円)安い。

 2つ欠点を挙げるとすれば、Moto Gは「LTEに対応していないこと」と、当たり前だが「iPhoneではないこと」だ。

 Moto Gの2つ目の欠点である「iPhoneではないこと」は、裏を返せば、Appleが大切にしているアプリの充実度、安心感といったブランドだ。いくらiPhone 5cの価格を下げても、Appleは「iPhoneであること」に5万円払えるユーザーを対象としていることに変わりない。

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