前回、Facebookは10代の利用率が低下していると書いたが、では米国の10代はどのSNSを使っているのだろうか。
高校生を中心に平均年齢16歳を対象にした2013年秋の調査では、「一番大事なソーシャルメディア」としてFacebookを挙げた10代が1年前の42%から23%に減少した一方、Twitterは26%でほぼ変わらず、Facebookが買収したInstagramが12%から23%と大きく伸びている。
他の調査結果からも、友人らとのメッセージのやりとりにはTwitter、写真や動画を共有するにはInstagramという10代の姿が浮かび上がる。しかし、一番伸びたのは2%から17%に急増した「その他」である。
日本でも、最近の調査で、10代の7割近くが「LINEがないと困る」と回答しているように、世界的に10代の間で利用が大きく伸びているのがモバイルアプリだ。
Facebookは「10代の利用が低下していることは憂慮していない」と言いながら、2013年11月に10代に人気の写真共有アプリSnapchatの買収を30億ドルで申し出て断られ(その後、グーグルの40億ドルの申し出も断ったとの噂)、2014年2月にはモバイルメッセンジャー、WhatsAppを買収した。
WhatsAppの月間のアクティブユーザー数は4億6500万人以上で、1年経たないうちに倍増している。
米国生まれのWhatsAppだが、知名度も利用度も米国国外の方が高い。多くの米国人が「WhatsAppって何?」という一方(北米でのユーザー数は700万人)、最もユーザーが多いアジア太平洋ではアクティブユーザーが1億人を超える。次いでヨーロッパの4500万人、中南米は3800万人だ(参考URL)。
マレーシアで何人かに「連絡にはWhatsAppを使って」と言われたが、マレーシアでの利用度はWeChatに抜かれ2位である。「ハングアウトは?」と言うと、Androidに搭載されているのに「何それ?」と言われ、WhatsAppをダウンロードする羽目になった。
WhatsAppを「一番よく使うモバイルメッセンジングアプリ」として挙げたユーザーは、メキシコでは76%、南アフリカ72%、ブラジル63%、インド55%、ケニア49%、ナイジェリア45%である。一方、Facebookメッセンジャーを挙げたユーザーは、どこも数%以下だった。
なお、これらの国々では、WhatsAppは、主にグループチャットと写真共有に使われている。さらに、WhatsAppのユーザーに占める10代の割合は、中近東・アフリカが69%、中南米が62%だ(参考URL)。
米国では「WhatsAppに190億ドルは払い過ぎだ」との声が高いが、FacebookがWhatsAppを買収したのは、まさに、これら新興国のユーザーを狙ってのことだろう。米国内ではFacebookのユーザー数は頭打ちだが、これら新興国では年間2桁の伸びを示しており、今年はインドが米国を抜くと予想されている。
一方、2014年はSNSが初のマイナス成長となるという調査会社もあるように、今や戦いの最前線はSNSからモバイルメッセージングに移っており、Facebookとしては指をくわえて見ているわけにはいかないのである。つい先日、開設10周年を迎えたFacebook。もはや、革新的な先駆者だった存在から、市場の動きを後追いしている感は否めない。
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