スカパー!がオールジャパンで挑む放送コンテンツの海外進出--高田社長に聞く - (page 3)

加納恵 (編集部) 栗栖誠紀(人物撮影)2014年03月07日 10時46分

良質なコンテンツを作るためのポジティブなスパイラルを構築したい

--一方、デジタル移行後の日本市場はいかがでしょうか。

 収益面からいうと、テレビCMの形が変わってくるでしょう。現在の広告宣伝費が簡単に増えていくとはあまり考えられません。ただ今までほかのメディアに出ている広告ソースや販促費をテレビ局が取り込んでいくことはできると思っています。

 単にCMを露出するだけではなく、プロダクトプレイスメントのような形が主流になっていくでしょう。2013年にスタートしたハイブリッドキャストも、放送と通信の融合という観点から、新たな広告価値として利用できます。

 また、有料多チャンネルの面でも伸びしろはあると考えています。現在の有料多チャンネルの普及率は20%程度と言われており、これは欧米よりかなり少ない率です。日本は地上波のコンテンツも大変優れていますから、諸外国と同じだけの普及率にまでは届かないかもしれませんが、もっと有料多チャンネルの世界も伸びなければおかしい。有料多チャンネルの市場を成長させるのに、必要なのは無料放送とは差別化された有料でしか見られないコンテンツです。それがどれだけあるかがポイントになりますね。

 良質なコンテンツを作るために投資をして、それがお客様を増やし、さらには海外にも競争力のあるコンテンツを配信できる。こうしたポジティブなスパイラルを作り、収益をあげていくこと必要です。ここがきちんとできれば、まだ成長は十分にできます。

--スカパー!としてはどんな戦略をとっていかれますか。

 お客様が最終的に求めるものはコンテンツです。ここをどれだけ高められるか、個々のチャンネルが不断の努力をすることは当然です。よりニーズの高い“多チャンネルの商品”を組成することが重要です。

 現在の「スカパー!」の商品ラインアップは45チャンネルが視聴できる月額3570円の「スカパー!基本パック」、月額2835円の「スポーツセレクション」、月額2880円の「JリーグMAX」といったセット商品と、単チャンネルの契約があり、その中間の値段の商品がないのですが、1チャンネルだけでは物足りないお客様がいます。調査したところ、お客様が値ごろ感を感じる価格帯は2000円前後との結果がでました。

 お客様は有料コンテンツの金額設定に対してシビアですから、少し見ない期間が続くと解約に結びつきやすい。そこでお客様が最も値ごろ感を感じていると思われる価格帯に、月額1980円の新商品を3月から導入するのです。

 新商品は、45チャンネルのなかから5チャンネルを選択できるもので、このニーズは明らかにあります。またこれ以外にも料金体系やサービスがわかりにくいという課題もありますから、その辺りの課題解決は今後も進めていきます。

--日本市場における会員獲得は新パックの導入は中心になりますか。

 スカパー!では5月にMPEG 2(音声チャンネルは除く)の放送を終了します。現在のチューナからH.264対応のチューナに替えていただくために、多くのエネルギーとコストを費やしています。ここでまずより多くの人に新チューナに替えていただくよう努力しています。

 新チューナ移行後には新たな顧客管理システムを導入します。現在スカパー!はICカードベースで顧客管理をしていますが、これを視聴者ベースで管理できるようにしていきます。ファミリーで見ているお客様もいらっしゃいますし、時間とともにお客様のライフステージも変化していきます。そういったお客様の1人1人のニーズが見えるようにすることで、コミュニケーションのあり方は相当変わってくるでしょう。コンテンツに対するニーズやライフスタイルなどをつかむことによって、的確な情報提供ができるようになります。

  • スカパー!オンデマンドの「Jリーグ オンデマンド」

オンデマンドは誰でもできるからこそ難しいビジネス

--新たな取組みですね。放送とは異なる「スカパー!オンデマンド」の現状はいかがですか。

 スカパー!の事業拡大に向けた主要サービスの一つと位置づけ展開しています。目玉コンテンツは「Jリーグオンデマンド」で、J1・J2リーグ戦全試合LIVE配信など加入者の方から最も満足度の高いサービスになっています。

 オンデマンド配信は、誰でも簡単にできる時代になっているからこそ、ビジネスとして成立させることが難しい分野です。スカパー!で運営する強みは、スカパー!のブランド力と専門チャンネルの専門性だと思っています。私どものビジネスは衛星放送がメインですが、やはり届く限りにおいて多チャンネルの魅力を伝えていきたい。そうして意味からもオンデマンド事業は拡大していきたいですね。

  • スカパー!では4Kライブ伝送実験を3回実施している

--2014年は4K放送も開始されます。新たな取組みはまだまだ続きますね。

 スカパー!は民間初の衛星会社としてスタートしていますから、新しいことに取り組むのは常ですね。WAKUWAKU JAPANのような海外進出も4K放送も、新しいテクノロジがあれば最初に取り組んで行きたい。新たな市場に切り込んで、放送局や放送事業者の方々の仕事をやりやすくするのが使命だと思っています。

 逆にそうした先進的な部分を常に切り開いていかなければあっという間にレガシーメディアになってしまいます。スカパー!と聞いてみなさんが「新しい話題が常にある」「どこよりも元気がよさそう」といったイメージをしていただけるように今後も取り組んでいきます。

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