スカパー!、標準画質終了前の解約に歯止め--「H.264方式移行は最優先課題」

  • 第3四半期累計損益概要

 スカパーJSATホールディングスは2月6日、2014年3月期第3四半期(2013年4~12月)の累計決算を発表した。スカパー!HDサービスにおける視聴料収入増などにより、売上高は1241億円(前年同期比5.3%増)、営業利益は169億円(同32.6%増)の増収増益となった。経常利益は169億円(同33.4%増)、当期純利益は101億円(同29.7%増)。ただし、有料多チャンネル事業における新規加入件数は35万6000件(前年同期比45万5000件)、純減数は12万3000件(同1万3000件)と厳しい状況となった。

  • スカパーJSAT代表取締役社長の高田真治氏

 スカパーJSAT代表取締役社長の高田真治氏は「標準画質終了が間近になり、H.264方式への移行を促進することで解約の増加を誘発している。しかしH.264方式への移行は最優先課題。最後の追い込みとして、プロモーション強化など、第4四半期はコスト増を予想している」と現状について話した。

 スカパー!では、5月に標準画質の放送を終了。現在スカパー!サービスを利用しているユーザーは、H.264画質へサービスを移行する必要がある。スカパーではダイレクトメールの発送や電話による移行促進を実施しているが、サービス移行というハードルからユーザーの解約を誘発しているという。

 こうした動きに対し、より手軽な料金体系の提供を目的に、月額1980円の新商品を3月から導入する。新商品は選択対象チャンネル45チャンネルの中から5チャンネルをセレクトして視聴できるというもの。月額3570円の基本パックに比べ、リーズナブルな価格設定が特徴だ。

  • 有料多チャンネル事業の加入件数など

 「スカパー!では、1000円前後の単チャンネル、3000円前後の基本パックやプロ野球セットなどを提供しているが、ボリュームゾーンとなる2000円前後の商品がなく、値頃感を求めるニーズに応えきれていなかった。単チャンネルの契約者や基本パックに加入していても見ないチャンネルがたくさんあると感じているユーザーに向け、受け皿的商品を用意する」と解約に歯止めをかける施策を示した。

 一方、2~3月にかけては「欧州サッカーチャンピオンズリーグ」「アカデミー賞受賞作品160本一挙放送」などコンテンツも強化する。また1月にはインドネシアにおける専門チャンネル「WAKUWAKU JAPAN」の立ち上げを発表し、新たな事業もスタートした。

 「WAKUWAKU JAPANは、放送コンテンツをNHKや民放各社、放送事業者の皆様から提供いただいているオールジャパンチャンネル。これをトリガーに海外に展開したい企業や自治体と強く連携して収益スキームの早期実現を目指したい」と、グッズ販売や観光客の誘致、日本の物産紹介など、コンテンツ提供にとどまらない展開を担っていくことを明らかにした。

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