三菱電機は2月10日、ドライバーが実行したい操作を推定する「先回りエージェント」と1回の音声入力で操作ができる「タッチ&ボイスHMI(ヒューマンマシンインターフェース)」などを採用した、新しい自動車の操作方法「簡単操作インターフェース」を開発したと発表した。2018年度をメドに事業化を目指す。
三菱電機デザイン研究所インタフェースデザイン部部長の藤本仁志氏は「ナビやオーディオ、電話など、車載機器が多種多様化されることによって、運転に集中できなくなるような運転阻害要因が出てくる。これは法律で規制されつつあり、このまま進むと運転中は何もできなくなってしまう。しかし楽しく運転するためには、そうした機器を簡単に操作できるようにする必要がある」と開発に至る背景を話した。
簡単操作インターフェースは、先回りエージェント、タッチ&ボイスHMI、ヘッドアップディスプレイ(HUD)から構成される、自動車向けのインターフェースだ。ドライバーの操作履歴や運転履歴をもとに、実行したい操作を推定し、ヘッドアップディスプレイ上に3つの候補を表示。ドライバーは3択ボタンを選ぶだけで、操作を実行できる。
実行したい操作は、時間や位置などを加味した上で表示され「○○に電話」「○○放送」など、日常的に実行している操作を推定してくれることが特徴。選択肢は3つ表示されることで「1つだとドライバーが本当にしたい操作を当てることは難しいが、複数表示することで、よりやりたいことが伝わる。またボタンの数が上、中、下で足りるため手探りでも操作しやすい」(藤本氏)と説明した。
3つの選択肢はヘッドアップディスプレイに表示させることで、視線を大きく動かさなくても操作ができ、安全運転につながるという。
また、3つの選択肢の中にやりたい操作が見つからなかった時は、4つの機能ボタンから実行したい操作を繰り上げて表示することが可能。機能ボタンは「MUSIC」「NAVI」「AIR CONDITIONER」「PHONE」といった機能を設定し、この場合でも機能ボタンを押して、3択ボタンを選択する、たった2回の操作で、実行したい操作にたどりつける。
各機能ボタンは長押しすることで、音声操作も可能だ。誘導音声ガイダンスも用意されているため、「どこへ行きますか?」「○○水族館」など、会話するように操作ができるとのこと。カーナビ、クラウド連携の音声認識技術を採用するため、高精度な音声認識を実現するとしている。
三菱電機では、簡単操作インターフェースをOEMで販売することを想定しており、価格に関しては未定。ただ当初は高級ゾーンからの導入を考えているという。「ハンドルにデバイスをつけたり、ネットワークに接続することが必要になるが、その環境もすでに整ってきており、価格帯を限定せず自動車全体に使える技術だと思っている」(藤本氏)と、今後の展開を話した。
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