米政府は、自動車間で無線通信リンクを確立できるようにする取り組みを開始する。この技術によって、事故の削減とともに、最終的には燃料の節約と移動時間の短縮が可能になると期待されている。
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は米国時間2月3日、ミシガン州アナーバーで3000台の自動車を対象にして、2012年から実施していた自動車間(V2V)通信に関する調査報告のまとめ段階に入っていると述べた。同レポートは数週間以内に公開されるはずであり、米運輸省(DOT)はその後、自動車や軽トラックの間の通信技術の利用に向けた取り組みを本格化させることになる。
当局は「NHTSAはその後、未来の新型自動車におけるV2Vデバイスの搭載を義務付ける規制案に向けた取り組みを開始することになる」と述べるとともに「DOTは、今回の発表によって市場に伝えられるメッセージが、この技術の開発を大幅に加速させるとともに、V2Vの安全な利用が市場に浸透する道を開くと確信している」と述べた。
V2V通信は、ノートPCや携帯電話が使用している802.11無線ネットワーク規格と類似したものを使用するが、自動車同士のリンクを確立し、位置や速度に関する情報を1秒間に10回の頻度で互いにやり取りする。これにより例えば、前方にいる自動車が急ブレーキをかけた際にそれを確実に検知できるようになる。
V2V技術は当初、ドライバーを支援するものと位置付けられるが、NHTSAは「車載センサを利用する積極的な安全技術」に結びつけることも考慮している。これが実現すれば、自動車はドライバーの介入なしに、衝突を回避するためのブレーキ操作やハンドル操作が可能になる。
関連技術として、信号機といったインフラと自動車を連携させるV2Iという技術もある。これは最終的に、交通の流れをよりスムーズにするために用いられる可能性がある。
V2V技術もV2I技術も、自動運転車に必須となるものではないが、どちらも自動車に対して周囲の状況を伝えるうえで役立てられるはずだ。
V2V通信やV2I通信で注意が必要な点は、米政府の別の機関である米連邦通信委員会(FCC)が、現状では自動車間通信専用に割り当てられている周波数帯を、汎用目的で使えるように開放するかどうか検討中であるというところにある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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