Googleは米国時間1月13日、スマートサーモスタットを提供するNestを32億ドルもの巨額で買収したことを発表した。これほどまでに熱望されたこの新興企業のこれまでの経緯を知っている人々は、この発表を意外に思ったかもしれない。
しかし、別の観点からはおそらく、それほど驚くべきでなかったことも見えてくる。
同社を創設したのは、Appleの元社員だったTony Fadell氏とMatt Rogers氏である。Nestの最高経営責任者(CEO)であるFadell氏は、「iPod」の生みの親として知られ、21世紀の初めにAppleの運命を変えた同製品の当初の開発チームを統括していた。また、サーモスタットのNestは、Apple Storeでも販売されていた。
したがって、Appleは2人の元社員とその成長著しいスマートホーム製品ラインを取り戻すべく、先手を打って買収を提案したことがあるのではないかと考えるのはごく自然なことである(Re/Codeは匿名情報筋の話として、Appleは買収を提案しておらず、買収を真剣に検討していたのはGoogleだけだったと報じている)。
Appleは一度も買収を提案しなかったのか、それとも、提案したがFadell氏とRogers氏にとって魅力的なものではなかったのか。もしかしたら両社は話し合いを持ったものの実現には至らなかったのかもしれない。あるいは、Appleが妥当な買収提案をしたにもかかわらず、何らかの理由でNestにとっては真剣に検討すべきイグジット候補ではなかったのかもしれない(Appleは同社の買収戦略について決して正式なコメントをしないが、米CNETとしては今回もコメントを求めている。本記事執筆時点では得られていない)。
しかし、もしNestが本当にAppleの買収対象企業リストに載っていなかったとしたら、それはなぜだろうか。
「Nestの強みはデザインだ」と調査企業IDCのアナリストであるJonathan Gaw氏は述べた。「技術は良いが、必ずしも画期的とはいえない。Appleの立場で考えれば、『デザインなら既にある』と思うだろう」(Gaw氏)
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