2014年の展望

2014年のアップル、“顧客に愛される大きな計画”--松村太郎のApple一気読み

 12月23日~12月29日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 皆さんにとって、2013年はどんな1年だっただろうか。何らかの変化はあっただろうか。新たに始めたこと、進歩したことやり方を変えたこと、ストップしたことなど、変化にもさまざまな種類がある。

 Appleにとっての2013年は、どちらかというと成熟させること、あるいは時期をじっくりと見据えること、という少し派手さに欠ける1年だったのではないだろうか。裏を返せば、2013年の助走から、2014年、2015年への大きな変化を期待できるかもしれない。

 AppleのCEO、Tim Cook氏は、従業員向けに送ったメールの中で「顧客に愛されるであろう大きな計画」を2014年に行うとしている。2013年のAppleのさまざまな活動を、この計画のための準備としてみると、OS X・iOS 7と2つのOSの刷新、iOSデバイスの64ビット化で、ソフト、ハードの準備を整えていると見てよいだろう。

アップルのクックCEO、2014年の「大きな計画」を約束--9to5Mac報道(12/25)

2013年から2014年へ

 Appleにとって、2013年前半は意外と苦しい時間だったかもしれない。特に株価では、2012年に700ドル以上の価格を付けてから390ドル台まで落ち込んでしまった。競争の激化による収益性の低下が悪材料と見られたことはあるが、それでも競合他社とは比較にならないほどの高収益を確保することは間違いないと見られる。

 Appleはデザインを刷新したiPhone/iPad向けOS「iOS 7」、スマートフォンで初めて64ビットプロセッサを搭載した「A7」、モーションコプロセッサとして初搭載した「M7」と、3つの「7」が鍵となる数字となった。ディスプレイサイズなどで遅れを指摘されてきたAppleは、テクノロジの面で大きなアドバンテージを得ることができた。またMac Proも斬新なデザインと非常に強力な性能で、先進性をアピールするには十分だった。

 非常に精密なデザインと加工、先進性を打ち出しそれをトレンド化する能力は、Appleの得意とするところだ。しかしこうした革新を続けていくことができる企業が、30年前にもMacintoshというパーソナルコンピュータ市場に革新を起こした1台を作り出していることには驚かされる。2014年1月には、1984年に誕生したMacintoshを祝うイベントが予定されているそうだ。

 また、Appleは働く環境を新たにすることにも取り組んでいる。Apple Campus 2は「宇宙船」と呼ばれる奇抜な建造物で、その設計にSteve Jobs氏も関与したとされている。Appleの社内の話については断片的にしか伝わってこないが、例えばApple流の働き方をデザインで示したり、それが製品に反映されたりしたら面白そうだ。

アップルの宇宙船型「Campus 2」--最新イメージで巡る次世代新キャンパス(12/25)
「「Macintosh」、2014年で誕生30周年--1月に記念祝典開催へ(12/26)
アップルの2014年--さらなる革新のために期待されること(12/26)
「7」「390.53」「100万」--3つの数字で振り返る2013年のアップル(前編)(12/27)
「7」「390.53」「100万」--3つの数字で振り返る2013年のアップル(後編)(12/28)

GoogleとAppleら特許連合との新たな火種

 AppleとSamsungがスマートフォンやタブレットに関する知的財産権を巡って裁判を行っているが、2012年にカリフォルニア州でSamsungに対して10億ドルを超える賠償を支払う結審を見たことが印象深い。2013年前半は、特許の除外などでAppleに不利な決定が続いたが、その後改めて算定された賠償金額は9億ドルを超え、結果的にAppleの勝利となった。

 一方で、AppleのiOSと、Googleとパートナー企業が押すAndroidの戦いは、2013年、Androidの覇権が決定的となりつつあり、上記の訴訟に関わらず、AndroidがスタンダードなモバイルOSの座を勝ち取ったと見てよいだろう。しかし注意すべき点は、覇権を取ったからそのビジネスが儲かる、という状態ではないという点だ。

 iOS vs Androidの代理戦争的な見え方をしていたAppleとSmasungの訴訟は、いつの間にか、米国と韓国の訴訟のような見え方へと変化した。これまでAndroidのフラッグシップデバイスとしてSamsung GALAXY Sシリーズを押していたGoogleも、Motorola Mobilityの買収によってMoto Xなどの自社ブランドの展開が始まり、また特にタブレットではGALAXY TabよりもNEXUSシリーズが好調であることから、Samsungを押す理由が薄れつつあることも原因だろう。

 そんな中、Nortel Networksの特許をApple・Googleらが共同で買収し設立したRockstar Consortiumを、Googleが提訴した。同社は端末メーカーなどに対し、管理している特許の侵害を訴える訴訟活動を行っているが、これがGoogleの「Android」パートナーや顧客を不当に標的にしているとの主張だ。

 AppleとSamsungの訴訟への対応と対照的に見えるのは、Googleが自社ブランドであるNEXUSを含む広範な端末メーカーを保護しようと動いている点だ。

Rockstar Consortium、Nortel Networks特許の一部売却を検討か(12/24)
グーグル、特許管理団体Rockstar Consortiumを提訴(12/27)

将来のiPhoneはどんな姿か?

 筆者からすると「なぜか?」という疑問を払拭しきれない、スマートフォンに対する曲面ディスプレイ採用の盛り上がり。曲面にして何がよいのか、という点がいまいち説明されていない中で搭載されるかどうかの議論が続いているが、先週の記事では「曲面ディスプレイ非搭載」との情報が流れている。

 Appleは例年通りであれば、夏にMacBook Airの刷新、夏から秋にかけてiPhoneを発表し、秋も深まりを見せる頃にiPadとMacBook Proを披露する。Macについては、デザインやソフトウェア的な技術が主導してきたが、iPhoneやiPadは、特許や企業買収による基幹技術の拡充で進化している。

 AppleはiOS 6で独自の地図を披露し、拡充を急いでいる。ユーザーの位置情報はAppleにとっても非常に重要視しており、地図関連の企業の戦略的買収が続いている。また、iOS 7に搭載した屋内での位置情報認識を助ける技術iBeaconを導入している。買収と特許に注意深く着目することは、Appleが何をやろうとしているかを理解する上で非常に重要となる。2014年も引き続き、ウォッチしていくべきだろう。

アップル「iPhone 5s/5c」、China Mobileで提供開始へ--1月17日より(12/23)
「iOS 7」の脱獄ツールが公開される(12/24)
アップル、地図関連企業など買収済みか--Evernote競合のメモアプリ「Catch」も(12/24)
「iPhone 6」と「GALAXY S5」、曲面ディスプレイ非搭載か(12/25)
アップル、多数の特許と意匠を取得--心拍数モニタはスマートウォッチ向けか(12/25)
アップルに台湾当局が罰金命令、「iPhone」価格決定に介入の疑い--WSJ報道(12/26)

その他

新「Mac Pro」、やはり品薄--供給が需要に追いつくまでにしばらく時間も(12/27)

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