「7」「390.53」「100万」--3つの数字で振り返る2013年のアップル(前編)

 2012年6月から毎週Apple関連ニュースを振り返る記事を担当し、2回目の年末を迎える。2013年はAppleにとって、どんな1年だったのだろうか。そして来年どのようなテクノロジに注目すべきだろうか。前編では、2013年のAppleにまつわる3つの数字をピックアップし、振り返っていく。

iPhone 5s
iPhone 5s

 今年もテクノロジ業界、特にモバイル市場は、Appleなしには語れない1年となった。iPhoneのアップデートでは、これまでの路線を引き継ぐハイエンドのiPhone 5sに加え、ミドルレンジのiPhone 5cが新たに登場した。iPadは、9.7インチモデルがiPad Airとして薄型軽量化が進められ、7.9インチモデルのiPad miniはRetinaディスプレイを搭載した。新たなデザインで登場したiOS 7も、急速にiOSデバイスのユーザーへと広がっている。

Mac Pro
Mac Pro

 またMacは、超低消費電力を実現するHaswell搭載により、バッテリ持続時間が大幅に伸び、MacBook Airの13インチモデルでは12時間、11インチモデルでも9時間を実現した。バッテリ持続時間とメモリ効率を高めた新しいOS X Mavericksは、Macユーザー向けに無料で配布された。その他、長らく登場が待たれていたハイエンド向けのMac Proが2013年内に全く新しいデザインで登場するなど、ハードウェアでは実りの多い1年だったと言える。

 またオンラインサービスも進化している。まずApp Storeはアプリ100万本を達成し、ますます魅力を高めることができた。また、iTunes Radioで音楽ストリーミングラジオ市場への参入も果たしている。

「7」--iOS 7、A7デビューで切り開く新たなモバイルトレンド

WWDC 2013で発表された「iOS 7」が、予定どおり日本時間の9月19日に公開された。iOS 7のホーム画面。iOS 6まで続いたスキューモーフィックデザインに別れを告げ、フラットデザインに一新された
WWDC 2013で発表された「iOS 7」が、予定どおり日本時間の9月19日に公開された。iOS 7のホーム画面。iOS 6まで続いたスキューモーフィックデザインに別れを告げ、フラットデザインに一新された

 2013年のAppleを語る最初の数字は「7」だ。これはiPhone発売以来初めての大幅なデザイン変更がなされたモバイルOSの最新版「iOS 7」がリリースされたこと。そしてスマートフォンに搭載されたモバイルプロセッサとしては業界で初となる64ビットプロセッサ「A7」が登場したことに由来する。

 Appleは2007年に初代iPhoneをリリースした際、「iPhone OS」としてモバイルOSを導入した。当初からOS Xとシステムの設計や搭載するテクノロジを共有しながら、タッチスクリーンを前提とした操作性と電話として快適に利用できる無理のない機能を実現してきた。その後2008年にリリースされたiPhone 3Gと同時にApp Storeが公開され、外部開発者がiPhone向けにアプリを製作して配布・販売できるようになった。

 後に「iOS」と名前を変え、iPadにも搭載されるようになり、さまざまな新しい機能やテクノロジを搭載しながら発展してきた。地図やiBooksなど、iOSからOS Xにフィードバックして搭載されてきた機能も増えてきている。

 タッチスクリーンで操作する電話というスタンダードを世の中により広く提案したiOSは、スキュアモーヴィズムと呼ばれる実在するものの形と機能を再現してユーザーにその用途と操作方法を想起させる手法が採られてきた。タッチスクリーンでの操作が普及する段階では、非常に効果的な表現だったと言える。

 しかし2013年のiOS 7まで、実に6年間このテイストを変えずに用いてきたAppleのタッチパネル向けインターフェースは、MicrosoftやAndroidのフラットデザインと比較し、いささか時代遅れになってきたことも事実だ。また、iOSの画面サイズが統一されているという前提はアプリ開発者にとって非常にデザインしやすい要素だったが、逆にAppleが異なるサイズのiPhoneやiPadを気軽にリリースできない「縛り」になっていたことも事実だ。

 ソフトウェアのユーザーインターフェースも担当するようになったAppleのデザイン担当上級副社長ジョナサン・アイヴ氏の下で、iOS 7のデザインが再設計され、これまでのiOSユーザーが戸惑うことなく、モダンで機能的な新しいユーザーインターフェースを実現した。簡単に言うと、単なるフラットではなく、レイヤー構造でシステムとアプリのインターフェイスを構成する仕組み。将来的に、画面サイズの違うデバイスが混在する環境にも対応しうる変更になったと見ている。

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