Twitterのアジア太平洋、ラテンアメリカ、新興国担当のバイスプレジデント、Shailesh Rao氏は「Twitterが考える広告ビジネスのグローバル戦略」をテーマに基調講演を務めた。
グローバルにユーザーを持つTwitterが広告ビジネスをどう変化させているのか、事例と共に紹介したRao氏は「瞬間をとらえるTwitterは、テレビの第2の画面となり、これまでメディア、デバイスに縛られていたテレビ、デジタルのキャンペーンを一貫性のあるキャンペーンに変化させた」とその変化について言及した。
Rao氏は、テレビや新聞など伝統的なメディアとTwitterとの違いについて「TwitterはMoment=瞬間、経験を作り出す。これまでわれわれは月面着陸、ベルリンの壁崩壊、天安門事件といった歴史的瞬間を、テレビのような伝統的なメディアのカメラを通して目にしてきた。それがTwitterの時代になり、体験の仕方が変わった。実地で体験している人から、リアルタイムに、災害や革命が起こった体験の真実を伝えられるようになった」と説明する。
Twitterはグローバル戦略を実施している。毎日5億ツイートが寄せられ、そのうち76%がモバイルからのアクセスだ。利用者は全世界に広がっており、北米の利用者は26%にとどまる。中でもアジアの利用者は31%を占める。
「日本でのTwitter利用では画期的な記録がある」という言葉とともに示されたのは、テレビで映画『天空の城ラピュタ』の放送時、作品中に登場する呪文「バルス」が一斉にツイートされた際の記録。瞬間ツイートとしては世界最高の14万3199/秒のツイートが行われた。
瞬間につぶやくTwitterの特性によって、「マーケッターのプランニングは大きく変わる」とRao氏は指摘する。日常の瞬間との連携によって成功した広告ビジネスの具体例として、不眠症薬のプロモーションを紹介した。
一日の終わりには「疲れた」というつぶやきが多くなる。その瞬間に薬品メーカーが着目し、その時間帯「#なぜ、夜、眠れないのか?」というハッシュタグをつけて顧客とコミュニケーションした。その結果、不眠症薬のブランドイメージは30%向上し、さらに購入率も50%上昇した。
瞬間のつぶやきとしては、スポーツ観戦中も上昇する傾向がある。これをうまく活用したのが日本のキリンだ。サッカー日本代表戦と連動する「カンパイゴール!」キャンペーンは、キリンの公式アカウントをフォローし、代表がゴールを決めた瞬間に専用アプリやPCサイトに設けられた、「カンパイゴール ボタン」を押すことでキャンペーンに参加する仕組み。600万ツイートが集まった。
「ユーザーはより深いレベルでブランドとの関わりを持つことになる。こうしたチャンスは例えばオリンピックの期間だ。日本でのオリンピック開催が決まり、世界中のファンとの間でブランドを持つ企業はオーディエンスと会話するチャンスがある。無限とも言えるチャンスになるだろう」
オーディエンスとの関わりとしては、伝統的メディアであるテレビとTwitterは、競合というより連携する道を選んだ。
「テレビが提供するのは予定されていた瞬間。そこにTwitterがテレビのセカンドスクリーンとして関係するようになっている。テレビを見ながら、書く、語る視聴者が増加している。これが意味するのは、視聴者はより深く番組に関わるようになり、その結果、双方向の関係が生まれる」
米国の人気ドラマ『ウォーキングデッド』が放送された際のツイートを見ると、「番組がスタートする夜の21時から終了する22時までの間にツイートが盛り上がり、ツイートを見て番組を見始める人も出てくる。その結果、放送後も3時間にわたり、かなりの人がこの番組についてツイートし、番組をリアルタイムに視聴した人の数は300万人だったが、1500万以上のインプレッションがあった」という。テレビ放送がツイートと連携し、大きな影響力を及ぼしていることが明らかとなった一例だ。
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