一方で、クルマの機能で急速に普及しているものがある。先行するクルマに近づきすぎたら自動でブレーキがかかる“ぶつからないクルマ”は、TVCMでもお馴染みだ。そしてそれらのクルマには、オプションでもっと上の機能を搭載できることが多い。メーカーによって呼び名は若干異なるがそれが「全車速追従機能付きクルーズコントロール」だ。
自動運転が話題になり、先進的な例で人間よりもスムースな加減速を行うレベルになったと報じられているが、加減速に関して言えば、最新車種の全車速追従機能付きクルーズコントロール付きのクルマであれば、人間よりもスムースな加減速はほぼ実現している。
全車速追従機能付きクルーズコントロールとは、前の車に追従して加減速を行い「全車速」のとおり前のクルマが停止すれば自分も停止するというものだ。さらに、車線をカメラで読み取り、車線に合わせてハンドル操作を導くようなレーンキーピングアシスト機能も多くのクルマに搭載が始まっている。
この2つがあれば、信号がなく、車速を追従するためのレーダに反応しない障害物=歩行者がいない道であれば自動運転も可能だ。実際にはレーンキーピングアシストは、ドライバー側の意思のあるハンドル操作が一定時間なければ警告を発することと、舗装が古くて車線が消えかかってる道、半径の小さいきついカーブでは無効になるので高速道路でも自動運転とはいかないが、あと一歩で自動運転も可能ではと思えるところまで来ている。
現段階では実際に走行してみないとわかりにくい機能だが、このためのレーダやカメラの需要が高まっており、部品メーカーは相次いでパーツを供給している。以前はタイヤを展示していたドイツのコンチネンタルグループは、タイヤはほんの片隅に追いやり、自動運転などのソリューション展示に変更した。
実は自動ブレーキに関して言えば欧州で搭載が必須になることが決まっているため、メーカーも対応を迫られ製品を投入していることもある。そのため、部品メーカーのブースでは、少し前ならば電気自動車向けのモータやモータの制御パーツ、バッテリなどが話題だったが、今やこの機能のセンサが豊富に展示され、関連した展示も豊富という状況だ。
車両メーカー以外にパーツメーカーなどを歩いてみれば、本格的な自動運転はまだまだだが、より楽に安全に走れる方向に向かっているということを感じることができるだろう。
東京モーターショーを見ていくと、「クルマはカッコよく」「憧れはあってもある程度現実的に」「燃費は良いほうが良いが燃費だけ良くても困る」──といったクルマ好きが思い描くことにほぼ沿ったものが展示されている印象だ。
前回展示されたような電気自動車を非常用電源に使うであるとか、家の蓄電システムに組み込むという案は技術的には面白いが、クルマ=移動できる機械を買いたいという人から見れば、本末転倒な提案であったと思えてくる。
もちろん環境やエコのテクノロジを前面に押し出したメーカーもある。以前のように環境やエコ一辺倒で、「クルマを走らせてはいけない」と思いかねない提案が減り、モーターショーとしてバランスの取れた展示会と言えそうだ。
電気自動車の試乗は競争率が高く、開場直後に整理券を確保する必要があるが、それ以外は混んでいるかもしれないが誰でも見られる展示となっている。
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