本体は7.2mmから7.5mmと厚くなり、重さも20~30g程度重たくなってしまった。数字の上だけでなく、旧iPad miniと比べればその変化に気づくが、本を読んだり持ち運んだりする際には、あまり大きな違いを見つけることはできなかった。それ以上にRetinaディスプレイに変わったことの方が、個人的には大きいからだ。
プロセッサがよりパワフルになり、Retinaディスプレイを搭載したことで、心配されるのがバッテリだ。
AppleはこれまでのiPad miniやiPad Airと同じ10時間を公称しており、CNETなどの各種テストではそれぞれ12~13時間とカタログ値を上回る結果を出している。iPad mini Retinaディスプレイモデルの場合、iOS 7の環境ではそれまでのiPad mini以上に早く電池がなくなるという印象はなく、これまで通り1日キチンと使うことができる。
そうしたバッテリライフを実現するため、iPad miniよりも2倍の容量を持つバッテリが搭載されているそうだ。長く使えるのは良いが、一方で充電の長さは2倍となってしまう。iPad mini Retinaモデルには、これまでのminiに付属していた5Wではなく、9.7インチに付属していたものと同じ10WのACアダプタが付属していた。これで、充電にかかる時間が同じになる、ということだ。
裏を返せば、iPhone用のACアダプタやモバイルバッテリなどでは充電にかかる時間がより長くなってしまう点で、アクセサリや充電環境の見直しをしなければならないだろう。
さて、いままでのiPad miniは、iPad 2のパフォーマンスと同等だったため、多少諦めていたアプリもあった。使えないことはないけれど、わざわざiPadでやる必要もないんじゃないか、というアプリだ。例えばiMovieでのビデオ編集、3Dを多用したゲームなどは、あえてiPad miniではなく、Macでやればいいや、という印象だった。
ところが、iPad miniはiPhone 5sやiPad Airと同等の64ビットA7プロセッサを搭載しており、画面サイズの問題はあるが「やってやれないことはない」という状態になっている。もちろん、本格的な制作はMacで他のアプリを使う方がよいだろうが、筆者の場合、取材でiPadで撮影しておいた参考の動画を短くまとめる、といった使い方にはぴったりだ。
iPadで写真編集をしたり、その写真をすぐにブログで公開したり、という自分にはなかった新しい使い方の扉を開いてくれるかもしれない。
特にゲームについては開発者にとっても非常に期待を寄せる分野といえる。9.7インチのiPadと4インチのiPhone/iPod touchの中間に位置するiPad miniはグラフィックスを駆使した個人がプレーするゲームに非常に向いている。Zyngaを取材したところ、Retinaディスプレイモデル発売以前から、iPad miniへの期待感は高かった。
A7プロセッサとM7コプロセッサを搭載し、Retinaディスプレイの美しい映像が楽しめるiPad mini Retinaモデルは、パーソナルゲームマシンとしてより大きな可能性を秘めているのではないだろうか。
iPad mini Retinaディスプレイモデルは、ディスプレイの大きさの違いからiPad Airよりも100ドル安いプライスタグが付けられている。もちろん家やモバイル環境でパソコン代わりに利用したり、写真や動画を大きな画面で楽しみたいというユーザーにとってiPad Airは非常に魅力的な選択だ。
iPad mini Retinaモデルは、ノートPCのサブとしてタブレットを利用するユーザーにぴったりだ。スマートデバイスでのコンテンツ消費が増えているが、スマートフォンより大きな画面で楽しみたい、しかしカバンをより軽く済ませたい、というユーザーにちょうど良いサイズと最高の性能をもたらしてくれる。
ゲーム端末としての活用も期待でき、7.9インチというサイズと64ビットのパワフルさを生かした、何らかの新しい生産性を高めるアプリも登場してくるかもしれない。いずれにしても、iPadのフル体験を小さく、軽く、そして安く手に入れられるiPad mini Retinaモデルは、タブレットのある生活を非常に魅力的に彩ってくれるだろう。
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