(編集部注:米CNETによる「iPad mini with Retina Display」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。後編は11月20日に公開されています)
わずか1年前には、「iPad mini」が9.7インチモデルほどのパワーはない、小型の「手ごろな」iPadと位置付けられていたことを考えると驚いてしまう。今ではそれは、高性能な最上級タブレットだ。1年前に筆者は、iPad miniは誰のためのものか分からないと書いた。しかしこの1年で同製品は、筆者が自分用に選ぶiPadとしての立場を確立するに至った。筆者はその形状と引き替えに、いくつかの制約を受け入れていた。
今や制約はなくなった。新しいiPad miniは2048×1526ピクセルの「Retina Display」を搭載し、解像度は大きなサイズのiPadとまったく同じだ。また、非常に高速な64ビット「A7」CPUを搭載しており、これは「iPhone 5s」や「iPad Air」のものと同じだ。さらには「M7」コプロセッサもある。つまり、「iPad Mini with Retina Display」は、新しいiPad Airの小型版クローンと呼んでかまわない。より大型の兄貴分とまったく同じ仕様だ。そうなると唯一の問題は、それに大金を払いたいかどうかということだ。
確かにそれは、Retina Display搭載iPad miniの唯一の問題点だ。アップグレードされた2013年モデルはかなり高価で、基本モデルの16Gバイト版が399ドルだ。これは2012年のiPad mini発売時の価格よりも70ドル高い(2012年モデルの販売は、299ドルに値下げされて継続される)。またその価格は、同じように高解像度ディスプレイを搭載した小型タブレットであるGoogleやAmazonの競合製品よりもはるかに高い。一方で、iPad Airの基本モデルよりは100ドル安い。
そこでこのような疑問が出てくる。2種類のiPadがそれほど似ているのなら、あなたはどちらを選ぶだろうか。中サイズのタブレットに400ドルを払いたいだろうか。それとも大型モデルに500ドル払うだろうか。新しいiPad miniの方が価格は安いが、スクリーンはiPad Airの方が大きい。あるいは、かなり手ごろな価格である「Android」やAmazonのモデルで十分だろうか。
iPad miniの2012年モデルはスクリーンやスペックに不十分な点があり、当時の大型iPadと比較すると見劣りのするものだった。2013年モデルはどうだろうか。フルサイズのiPadと比べても、テクノロジ面の欠点がまったくない。それは完全に、サイズの好みと価値提案の問題だ。そして、高い金額を払ってこの高性能なタブレットを手に入れる必要があるかという問題だが、筆者はそうするだろう。
新しいiPad miniを手に取ると、以前のiPad miniとかなり似た感じがする。よく見ると違いが分かるが、離れて見ると決して分からないだろう。
iPad miniのカラーバリエーションは2色ある。ホワイトとシルバーのモデルは2012年モデルと同じに見るが、ブラックとスレートのモデルは、iPhone 5sやiPad Airと同じ軽量メタルの背面パネルを使っており、わずかに「スペースグレイ」に調整されている。
それ以外では、iPad miniの形で変更されたところは何もない。2012年モデルと同じベーシックなコンパクトデザインが使われており、これはiPad Airも現在採用しているものだ。具体的には、幅の狭いベゼル、フラットな背面パネル、そして全体的に非常に薄い、金属とガラスを使った外観である。厳密には、2013年モデルは2012年モデルよりも少し重くなっている。0.3mm厚くなり、重さはWi-Fiモデルで23g、LTEモデルで29g増えて、それぞれ0.73ポンド(331g)および0.75ポンド(341g)になっている。しかしそれは手に持ったとしても分からないだろう。2012年モデルと横に並べてみても、ほとんど区別がつかない。
そしてコンパクトではあるが、ポケットに入るサイズではないという点も同じだ(とても大きくて深いポケットなら別だが)。しかしiPad miniの大きなメリットとして、小さめの端末で大型のiPadアプリを動かせるという点があるのは、その大きめのサイズのおかげだ。
iPad miniは形の点では満点だった。それを変える必要があるだろうか。新しいiPad miniは賢明にも、そのバランスを変えなかった。
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