10月21日~10月27日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
米国時間10月22日(日本時間10月23日)に開催されたAppleのプレスイベントで、iPad Air、iPad mini Retinaディスプレイモデル、MacBook Pro、Mac Proなどのハードウェア製品、OS X 10.9 Mavericks、iWork/iLifeの無料化と刷新が発表された。
今回魅力的な新しいデバイスをリリースしたAppleであるが、それよりも鮮烈に印象づけられた点は、Appleがハードウェアメーカーであるという意志だ。もちろん優れたソフトウェアも作っているが、それはデバイスの体験を作り出すために必要だからで、そこから収益を上げようとは思っていない。
顧客にとっては「無料」づくしのありがたい発表だったが、テクノロジ業界にとっての影響も注視すべきだろう。
先週、それでは早速振り返っていこう。
Appleのプレスイベントで発表された新しいiPadラインアップ。iPad Airはこれまでの9.7インチRetinaディスプレイをそのまま搭載し、ディスプレイの外縁を43%狭くし、厚さ7.5mm、重さ469gと大幅に薄型・軽量化。一回り小さく軽い、Airの名称に恥じないスタイルを手に入れた。実際に手に持ってみると、これまでのiPadとの比較を差し引いても、薄くて軽い板という印象だ。
一方iPad miniは、Retinaディスプレイが搭載され、iPad Airと同じ2048×1536ピクセルが搭載されたが、画面サイズは7.9インチに据え置かれたため、iPad Airのディスプレイよりもさらに高密度なピクセル配置となった。これまでのRetinaディスプレイ同様、印刷物と同じようなくっきりとした表示が得られ、特に文字の表示性能は大きく向上した。
ディスプレイがRetinaに統一されたが、中の仕様もこの2つの機種で共通となった。iPad AirもiPad miniも、A7プロセッサを搭載した。これはiPhone 5sと同じ64ビットプロセッサであり、非常に高速な処理を行うことができる。つまりこの2つのiPadの違いは、画面サイズだけ、ということになる。このことは、どちらのiPadが良いのか、自分のライフスタイルや仕事を振り返って選ばなければならないことを意味する。
AppleはiPhone 5sをリリースする際に、新たにiPhoneをアクティベートしたユーザーにはiLife(iPhoto/iMovie)とiWork(Pages/Numbers/Keynote)を無料でダウンロードできるようにすると発表していた。iPadの発表に合わせて、iLifeの音楽制作アプリGarageBandも無料でダウンロードできるようになった。
GarageBandやiMovieなど音楽やビデオ制作のアプリでは、64ビットプロセッサA7の性能でより快適で高度な処理をiPad上で行うことができるようになる。
第2世代「iPad mini」はどうなる?--「Retina Display」搭載やプロセッサを予想(10月21日)Appleが10月22日に開催したイベントでは、6月のWWDC 2013で既にアナウンスされていたMac向けの新しいOS、OS X Mavericksのリリースが発表された。「驚きの価格」として発表されたのは、無料化。3世代前のSnow LeopardユーザーからMac App Storeを通じてダウンロードできる。また対応する機種も最新モデルから2007年のiMacにまでさかのぼることができる。
簡単なアップグレード方法と無料という価格によって、リリース後の3日間で米国ではMac全体の5.5%がMavericksにアップグレードしたとの調査がある。モバイルの世界ではデバイスやOSによる断片化の問題がしばしば採り上げられるが、PC市場ではMicrosoftがWindows XPのサポートを打ち切るなど、プラットホーム移行に対するコストは小さくない。
AppleはiOSのApp Store同様、OS X向けにMac App Storeを提供しており、最新のプラットホームに対応するユーザーの数を迅速に増やすことは、開発者にとってのビジネス上のプラットホームの魅力を高めることを、iOSから学んでいる。
OSとiLife・iWorkアプリの無償化で、Appleはデバイスの体験を引き立てるためのソフトウェアは無料で提供するという姿勢を明らかにした。同時に、Appleが作らないサードパーティのアプリの充実は、体験を作り出す上で非常に大切であり、Appleが持つ他にないアドバンテージである。このことをAppleも意識していると見ることができる。
アップル、「OS X Mavericks」を無料で提供開始(10月23日)2013年にまだ更新されていなかったMacBook Pro Retinaディスプレイモデルも、10月22日のイベントで刷新された。
13インチモデルではMacBook Airで採用が進んでいた超低電力を実現するHaswellのデュアルコアあるいはクアッドコアプロセッサが搭載され、内蔵グラフィックスもIntel Irisに刷新された。バッテリ稼働時間は2時間向上し9時間となった。
15インチモデルでは、第4世代クアッドコアIntel Core i7とIntel Iris Proの組み合わせに加えて、上位モデルにはNVIDIA GeForce GT 750Mがグラフィックスとして内蔵される。15インチモデルでもバッテリ稼働時間は1時間延び、8時間となった。
そして、WWDC 2013で発表していたプロ向けのMacであるMac Proは、詳しい仕様と価格が発表されている。Intel Xeon E5プロセッサはクアッドコアから12コアまで取り揃えてあり、いずれのモデルもThunderbolt 2を6ポート、USB 3.0を4ポート備え、4Kやマルチチャンネルオーディオ出力に対応するHDMIを搭載している。
特にビデオ編集はパワフルで、4Kビデオを3本同時にストリームすることができるなど、ビデオ編集が可能になる。こうした高品位ビデオをリアルタイムでエフェクト処理する環境にも対応し、プロ向けビデオ編集アプリであるFinal Cut Pro Xの新バージョンは、こうした性能を発揮できる設計になるとしている。
独特で非常にコンパクトな円筒形のデザインの中に三角形の内部構造を持ち、ハイエンドマシンでありながら排熱のファンの音がほとんどしない。内部への拡張性は確保されず、豊富な外部端子で対応するが、このことは後々、本体のリプレイスのしやすさとして現われてくるかもしれない。
Mac Proは最も安い価格で31万8800円からとなっている。
アップル、より薄く軽い「MacBook Pro」販売開始--Mac Proは31万8800円から(10月23日)先週のニュースで、バーバリーのCEOだったAngela Ahrendts氏について、CNETにその詳しい人物像とApp Storeがどのように変化するのかについての記事が掲載されている。米国インディアナ州ニューパレスティーンという小さな街で育った同氏は、スピリチュアルな両親に育てられ、直近の講演でも感情のエネルギーが人々を団結させ、精神を結びつけるとの内容を語るなど、直感を重視するという。
App Storeについては、1つずつの製品主張が強いため、ショッピング体験ではなく製品が中心なっている点を指摘し、展示品を増やすなどの工夫により訪れる人をより増やしていくことなど、これまで培われてきた手法を生かすのではないか、と期待されている。
アップルの新しい小売責任者--人物像から読み解くApple Storeの変化の可能性(10月21日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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