ではこれからビッグデータはどう生かしていけるのか。藤川氏の質問に、北川氏は前述のとおり「UX」だと答える。50以上サービスを持つ楽天。さまざまなタッチポイントで「こういったユーザーにこういったことをしよう」という体験の設計に生かしていこうとしている。
濱田氏はデータ解析によって「ユーザーがどういったことを楽しんでいるのか」を知り、そこから新しいサービスを作れるのではないかと期待する。さらに橋本氏は、「感動するサービスを生み出すところがビッグデータを使ったサービスのおもしろさではないか」と語る。
橋本氏は、先日Suicaの履歴を使ったデータ解析ビジネスが“炎上”の様相を呈したことを例に挙げ、「今まではスパムが多いからそう(ネガティブに)思われただけではないか。執事でも弁護士でも、ハイタッチなサービスではクライアントの顧客情報を思いっきり握っているのではないか」と語る。「スパムは嫌だが、最適なタイミングであれば、もしかしたら感動するかもしれない。レコメンド、データサイエンスの精度が未熟だから懸念を払拭できない」(橋本氏)。さらに、ビッグデータを使って“おもてなし”をすることこそが、これからのデータサイエンティストに求められるのではないかとした。
橋本氏は加えて、これまでデータサイエンティストには「統計のプロフェッショナル」と「ビジネスのコンサルができるプロフェッショナル」がいたが、今後は両方の要素が必要だと指摘する。縦割りの組織に対して、横断するデータ部門が存在する——横軸と縦軸による共同プロジェクトだからこそ、データ分析が事業に寄与するという。
北川氏は、ゲームにおけるビッグデータ解析の価値について濱田氏に尋ねる。濱田氏によると、DeNAでは、経営チームに対しても解析結果を元にした方向性の提案もしているのだという。「事業についていくつかの数値(KPI)があっても、それは競合するものではない」(濱田氏)
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