検索窓の位置がたった6ピクセル違っただけで、広告収入が4億8000万円変わる──10月8日、大阪で開催している「B Dash Camp 2013 Fall in Osaka」の最初のセッションで、こんな発言が飛び出した。
「ビッグデータ活用の最新事情」をテーマにした同セッションには、ディー・エヌ・エー(DeNA)ソーシャルプラットフォーム本部アナリティクスアーキテクトの濱田晃一氏、データセクション取締役会長の橋本大也氏、楽天執行役員の北川拓也氏が登壇。Hapyrus 共同創業者の藤川幸一氏がモデレーターを務める中、ビッグデータ解析の可能性が語られた。
藤川氏はまず、登壇者に大規模データを使ったアナリティクスの事例について尋ねた。橋本氏によると、実はYahoo! Japanのトップページでは、検索窓の高さについて、膨大な回数のA/Bテストを実施しているのだという。そこでは高さを22ピクセルから28ピクセルに変えたところ、広告のクリック率が0.64%向上した。
「たかが1%以下」と思うかもしれないが、これだけでトラフィックの膨大な Yahoo! Japanでは、前述のとおり4億円以上の差につながったのだという。A/Bテストの事例としては、ECサイトでクリック率が2倍になる、資料請求件数が5倍になるといった事例や、メディアでページビューが34%向上するといった事例もあったとした。「ホームランではなく、たくさんヒットを打つという姿勢」(橋本氏)
また、DeNAでソーシャルゲーム向けの解析を手がける濱田氏は、「パーソナライゼーション」のためにビッグデータを活用していると説明した。これまでは、ユーザー全体で人気の高いゲームを紹介していたが、それをユーザーの行動に合わせて紹介するようにしたところ、インプレッションごとのコンバージョン率や継続率は、最大で10倍になるまで増加したのだという。
北川氏は、データ解析を「人の感情を理解する、マーケティングに近いところで利用している」と語る。北川氏は自身の“オカン(母親)”を例に挙げ、「洗剤が半額になっているスーパーに行っても、スーパーで買うのは洗剤だけではない。また、買い物が多いからと言ってタクシーで帰ってくると言うことある。つまりユーザーはお客は体験、ユーザーエクスペリエンス(UX)を最大化するように行動する。金銭的(な観点)、費用対効果を最大化するために買い物をするわけではない」と語った。
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