ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンが11月に発売する「MovieNEX(ムービーネックス)」は、従来のDVD、ブルーレイソフトにデジタルコピーという新たな視聴体験を加えた新パッケージメディアだ。ディスクというリアルとデジタルコピーというクラウドを組み合わせた新メディアは、パッケージ業界にどんな変化をもたらすのか。ゼネラルマネージャーの塚越隆行氏に聞いた。
11月20日に発売する「モンスターズ・ユニバーシティ」を、MovieNEXの第1弾タイトルとして発売します。パッケージにはDVDとブルーレイに加え、Magicコードと呼ばれるコードが封入されており、そのコードを使ってネット上にアクセスすることで、PCや スマートフォンといった端末からも作品が見られるようになります。
パッケージメディアはVHS、DVDそしてブルーレイへとフォーマットを変更しながら販売してきました。しかし本来我々がするべき仕事は視聴形態を限定することではなく、作品を見てもらうことです。フォーマットの変更で一喜一憂するのではなく、作品を軸にお客様とコミュニケーションを取る、その立ち位置を明確にしたことがMovieNEXの発売へと結びつきました。
打ち止めというより、そうした考え方から脱却したということです。DVDやブルーレイといったフォーマットでお客様とつながるのではなく、もっと作品を通してお客様とつながりたい。そのために作品を提供する形をディスクメディアとデジタルコピーを組み合わせたMovieNEXとして提供いたします。現在考えられるもっとも広い間口を用意することで、お客様にはいろいろなシチュエーションで作品を楽しんでもらいたいのです。
いろいろなシチュエーションに合わせた使い方ができるからです。高画質で見ようと思ったらブルーレイがいいですが、DVDプレーヤーは広く普及しています。リビングではブルーレイで見ても、寝室ではDVDを見る環境しか整っていないかもしれません。そうした使い方をイメージしたときにディスクメディアは両方が入っていたほうがよいだろうと判断しました。
また、もっとフリーに楽しみたいというお客様にはデジタルコピーを用意しています。我々はプラットフォームやディスクを売るのではなくて作品を見ていただくことが目的ですから、視聴形態にこだわるのはやめようと考えました。我々は、プラットフォームや視聴環境に縛られないMovieNEXを提供することで、映画に接する機会を増やしていただきたいのです。
一方今回“わかりやすく提供する”こともテーマに据えています。これまでディスクメディアは、ディレクターズカットや●●エディションといったバージョンが登場しており、かえってわかりづらくしている部分もあったかと思います。そうした複雑な仕様を採用せず、統一の仕様に変更しました。これ一つあればいい、というわかりやすさが出せたと思っています。
MovieNEXワールドは、パッケージに封入されているリーフレットに記載されているスペシャルサイトにアクセスすることで、作品に関連したさまざまなコンテンツが体験できるという新しいサービスです。
コンテンツは、作品のメイキングや出演者のインタビューなど特典映像的なものから、テーマ曲や作品内の楽曲のダウンロード、アプリなど多彩な内容が盛り込まれる予定です。作品によってはイベントの案内や、グッズ購入用のクーポンなども用意します。
さまざまなコンテンツを提供できることももちろんですが、最大の特長は“後付け”ができることですね。今までのパッケージメディアでは、作品タイトルと特典映像などの素材をカチっと固めてからお渡しすることしかできませんでした。しかしMovieNEXワールドであれば、発売後でもコンテンツをご提供できます。お客様に好きになってもらえそうな企画があれば、今すぐでも、後からでもいつでも作れる。これは素晴らしいことだと思っています。
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