こうしてみると、iPhone 5sと5/5cは完全な別物であることがわかる。iPhone 5が販売終了であることを考えれば、iPhone 5sが正統進化の後継機、iPhone 5cが現状維持の普及機という位置付けだろう。ただし、アルミ素材でiPhone 5cとほぼ同等のスペックがiPhone 5に搭載されていると考えれば、iPhone 5にもそれなりに需要があるのではないだろうか。
ショップによっては、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)による高額キャッシュバックも実施されており、最新のiOS 7に更新できることからも一考に値するように思える。しかし、カタログスペックに隠された大きな落とし穴がそこにある。それがLTEバンドつまり“プラチナバンド”の問題だ。
現状、プラチナバンドと呼ばれているLTEバンドは、ドコモの19、KDDIの18が対応しており、ソフトバンクモバイルの8が対応予定だ。iPhone 5s/5cのそれぞれに“モデル”がありLTEバンドの対応状況に差はあるが、おおよそ1/2/3/4/5/8/13/17/18/19/20/25/26のバンドが利用できる。しかし、iPhone 5は1/3/4/5/13/17/25にしか対応しておらず、プラチナバンドは利用できない。そう考えると、高額キャッシュバックとアルミ素材、最新OS対応で“お得”と考えるのはいささか早計であるかもしれない。
また、SIMロックフリー端末派の人は注意が必要だ。iPhone 5sと5cは対応周波数の異なるモデルが各5種ある。その中でも国内主要3キャリアに対応しているのはiPhone 5s「モデルA1453」とiPhone 5c「モデルA1456」の各1種のみ。海外のSIMロックフリー端末だからといって飛びつくと、プラチナバンドの恩恵を受けられない可能性が高い。また、IIJや日本通信(MVNO)などが、ドコモ回線を使った低価格回線を提供しているが、現状ではドコモ端末でもLTE通信が使えないようである。利用できるのは3G回線のみであり、わざわざ高い出費を払ってまで利用する旨みは少ない。
いろいろと考慮すれば、iPhone 5s/5cはiPhone 5やそれ以前のiPhoneとは性能以上に現在の環境に適応した製品であることがわかる。特に、回線品質は携帯電話にとって重要な問題であり、見逃すことができないポイントだ。単純なスペックに現れない問題だからこそ慎重に考えたいものである。
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