ドラゴンクエストシリーズと言えば、キャラクターやモンスターのデザインに漫画家の鳥山明氏、音楽にはすぎやまこういち氏が初代から携わっていることが有名だが、参加するようになったエピソードも語られた。
鳥山氏が参加するようになったのは、当時週刊少年ジャンプの編集者で鳥山氏を担当し、現在は集英社の専務取締役を務める鳥嶋和彦氏の存在。鳥嶋氏が、鳥山氏が「ポートピア連続殺人事件」にはまり、ゲームを作りたがっていると聞いて依頼をしたという。しかし、しばらくして堀井氏が鳥山氏に確認したところ、「ポートピア連続殺人事件」を楽しく遊んでいたのは事実だが、ゲームを作りたいとは言ってないとコメントされたとのこと。堀井氏はあくまで推察と前置きしながら、おそらく鳥嶋氏が新しい刺激を与えたくてそのようなことを考えたのではと語った。
堀井氏が見た鳥山氏のイラストやデザインの魅力は“ゲームになじむ”ところにあるという。「たとえば高橋留美子さんの絵だったら、高橋さんのゲームになってしまう。原哲夫さんでもそうでしょう。でも鳥山さんの絵は、ちゃんとドラゴンクエストになってくれる。これが不思議ですね」(堀井氏)。
すぎやま氏の参加については、当時エニックスがPC向けに発売した「森田和郎の将棋」をすぎやま氏が購入し、アンケートはがきを送ったことがきっかけ。それに気づいた当時のプロデューサーが提案したのだという。堀井氏は、当時ピコピコ音と呼ばれるぐらい音の制限があるなかで、あえてクラシックの音楽で作ってきたという選択に驚いたと振り返っていた。
堀井氏は、以前はゲーム機そのものが珍しく、さらにその進化によって驚きや興味を引かせることが比較的容易だったが、最近はゲーム機の性能向上にともなってなんでもできるようになった反面、プレイヤーに対して驚きを与えるのが難しくなっているという。ただ、そんな現状であっても驚きを与えることは可能だとしている。そして必要なことは「ユーザーになって考えて、何が起きたら面白いかを発想すること」と語る。
たとえばドラゴンクエストシリーズであれば、魔王を倒すという大きな目標があり、その間にあるイベントでいかに驚いてもらう演出をするかを考えるという。シリーズを振り返ると、主人公が王様になったり、はたまた奴隷になったり石像になったりと、さまざま形で堀井氏のいたずら心が発揮されているのがわかる。
そんな堀井氏のクリエイティビリティやアイデアの源となっているのは、最近になってはじめたというサバイバルゲームやスキューバダイビングへの挑戦。さらにはゲストながら舞台にも役者として出演するというアクティブな姿勢。ほかにもネットで飛び交う情報もよくチェックしているとし、テレビドラマも国内外問わずよく見ているという。
ゲームに関しても、シリーズ初期の頃は息抜きとして「ファミコンウォーズ」に没頭していたといい、最近ではニンテンドー3DS用ソフト「すれちがい合戦」において、兵士を999万人集めるほどやり込みや、秋葉原のすれちがい通信のスポットとして知られているヨドバシカメラの前でずっと座っていたというエピソードも披露。ほかにも最近人気となっている「艦隊これくしょん」も情報は入れているとし、学生時代と変わらない“面白いことへの興味と探究心”がうかがえた。
イベント終盤の質疑応答のなかでは、有名RPGとして知られる「ファイナルファンタジー」についての質問があった。堀井氏は当初ライバル視していた時期もあったというが、一番驚いたのは、スクウェアとエニックスが合併して同じ会社になったことと回答。また「ファイナルファンタジーX」でボイスが入ったことにより、とても「ファイナルファンタジー」らしくなったと評していた。また、特に気に入っている「ドラゴンクエスト」シリーズ作品に「III」と「V」を挙げ、「III」はきれいにまとめることができたタイトルで、「V」は親子3代かかって魔王を倒すお話となり、主人公は変えずに子供から青年、そして親になるということでシナリオとしての面白みが出せた振り返った。
今後について、「生涯現役ですか?」という問いに堀井氏は「どうなるかはわからない」としながらも、足腰立たなくてもゲームはできるということで、遊び手としてはずっと現役だと回答。実際に「ドラゴンクエストX」では内緒で毎日遊んでいるといい、チームにも所属して楽しんでいるという。また、今は全く話せないとしたが仕事面で発表することが今後もあるとし、そのときどういう反響が得られるか楽しみと語った。
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