スクウェア・エニックスは8月2日、Wii用ソフト「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」を発売した。
すでに日本を代表するロールプレイングゲームとなっている「ドラゴンクエスト」シリーズの最新作となるドラクエXでは、日本中のプレイヤーとともに冒険を楽しむ、シリーズ初のオンラインRPGとなっている。
発売日となる8月2日にはSHIBUYA TSUTAYAにて発売記念カウントダウンイベントを実施。午前7時から販売開始となった。そのイベント終了後、メディア向けの囲み取材が行われ、ゲームデザイナーの堀井雄二氏と、本作のプロデューサーであるスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏が応じ、オンラインゲーム化にまつわることや今後の展開について語られた。
堀井:オンラインゲームということで、期待と不安が入り混じっています。
齋藤:社内の開発スタッフから連絡があり、ユーザーの方がオンラインの世界に入ってきていると報告を受けて、一安心しています。
堀井:今回オンラインゲームを初めて遊ぶという方がとても多いと思います。なので、オンラインゲームに対する敷居を下げたいと思って制作しましたが、ちゃんとそれが伝わって浸透するのかというところですね。
齋藤:やはり不安はドラクエXにおいて、初めてのことが多いことに尽きます。経験したことのない人数がひとつの世界に集まるわけで、そこで何が起きるかを考えるといい面もありますけど、想像できないことも起こる可能性があります。パッケージソフトとは違う、初めてのチャレンジによる期待と不安を感じています。
堀井:26年前は5、6人とかで作ったわけですよ。でもこの間打ち上げをやったんですけど、450人ぐらいが集まりました。
齋藤:開発スタッフだけではなく宣伝や営業などあらゆる関係者を含めての人数ですけど、パッケージゲームだけではないところも関わってくるので、全部あわせるとそのぐらいの人数になりますね。
堀井:ゲームも膨大な世界になると、人数もそのぐらいになるのかなと思います。
堀井:ドラクエシリーズのなかで、一本ぐらいはオンラインゲームがあってもいいと思ったんですね。
齋藤:ドラクエXはひとりで遊べるように作ってあります。その世界の中で、たとえすれちがうだけでも、人がいる空気感があるだけで楽しさが膨らみます。そこを味わってほしいです。もともとドラクエは、コンピューターのキャラクターが、温かみのある人間的なセリフを喋るので、それであればドラクエの好きな人同士が同じ世界で喋ったり遊ぶということは一回やってみたいと思っていました。
堀井:なぜドラクエが人気なのかというと、「どこまで進んだ?」とか友達と会話をすることによる思い出や共通体験なんですね。今回はオンラインで世界そのものを共有して、一緒に冒険できることがドラクエXの面白さだと思います。
堀井:「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」ですれちがい通信で話題になって広がっていったように、口コミも影響すると思います。遊ぶ人が増えると「自分も遊んでみようかな」と思ってくれますし、ソフトを手に取ってくれれば、すごく簡単に遊べるように作っているので、初心者の方も楽しめます。
齋藤:初代ドラクエを遊んで楽しんだ方はもう30~40代で、お子さんも小学生ぐらいになっていると思います。親子でパーティを組んで一緒の世界を冒険する遊び方もできます。
齋藤:わかりやすいところで言うと、お話が連続で展開していくクエストを毎週追加していきます。そして10週に1回を目安に、世界の中における新しい遊びを追加する大型バージョンアップを予定しています。ドラクエXはユーザーと一緒に作っていく世界だと思っていますので、ユーザーの意見や要望を常に聞きながら常に調整していきますし、大型バージョンアップにも反映させて、世界を作り続けていきます。
堀井:どうしてオンライン化に抵抗感があるのかというと、人に気を使いたくないというのがあると思います。ただ、ドラクエXではログアウトしているキャラクターを借りてパーティを組むことができるので、ソロプレイでも人の気配を感じて楽しめます。僕は結構人見知りなので、ベータテストではサポートキャラを借りて、ひとりでずっとレベル上げをやっていました(笑)。
齋藤:同じ世界で遊べるようになっています。ビジュアルが綺麗になっているなどはあるかと思いますけど、Wii U版のほうが機能がいいとか遊びが追加されるということは全くないです。そこはユーザーがお好きなほうを選んでいただけたらと思います。またWii版のあとWii U版を買っても、同じデータで引き続き遊ぶことができます。
齋藤:みなさんが心配している、オンラインによる敷居が高いイメージをナンバリングとして位置づけることによって、きっかけ作りと入りやすさを出したかったのはあります。あとは、開発がモチベーションを高く持って取り組めることですね。その結果いいものになったと思ってます。
堀井:先のことはわかりませんけど、どんなハードでも遊べればいいなと考えます。環境的にスマートフォンがメインになっていくようであれば、それで遊べるように作るのもありだとは思います。
堀井:オンラインゲームはいままでコアユーザーがやっていたと思うんですけど、ドラクエXでライトユーザーや普通の人たちが入ってくると思います。こういう方々入ってきたオンラインゲームがどうなるのか。新しいルールや雰囲気が生まれる可能性がありますし、そこに期待したいです。
齋藤:オンラインゲームは、シナリオやストーリーが無いという言われ方をされるようで驚いたんですけど、しっかりとしたストーリーが用意されていますしボスキャラもいます。それをクリアの目的としてもいいですが、ドラゴンクエストを好きな人が集まれる場所として育っていけたらいいなと。仮に今後ナンバリングタイトルが出たとして、その話題をドラクエXでしているとか、そういう場所になっていったらと思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」